3Dプリンタフィラメントの種類追加(TPU)
TPU(熱可塑性ポリウレタン)、印刷後冷えてからも柔らかい軟質樹脂です。食器やスマホケースなど身近なところで使われています。化学薬品、紫外線で変色しやすい等の欠点もあり、もともとあまり期待はしておらず、毛色の変わった材料もレパートリーに入れておこうということで購入したのですが、実際に出力してみて、これはPETGやPC以上に多用途で使いみちのある材料ではと思いはじめています。ゴムのように曲げたり引っ張ったりできるので、硬いものの保護カバーに使ったりするだけでなくやわらかいもの(布地や人の肌とか)につける用途も考えられます。3Dプリンタで作るマスクも固いプラスチックよりもこちらを使った方が顔のカーブに合わせたりできそうです。
購入したのは、中国製 PRILINE TPU 1kg 黒色(光沢色)印刷温度190-230℃、ベッド50-80℃。TPUは柔らかいためにプリンタによっては、うまくフィラメントを送れないトラブルもあるとの情報から、比較的固めとレビューされている製品を選びました。スタッドレスタイヤのゴムの硬さが近いでしょうか。
印刷温度は、メーカー推奨値の範囲で5℃ずつ変えてこれまでと同様にテストピースを印刷しました。ちなみにQIDIのスライサー上のTPUの規定値は190℃です。
テスト用モデルは、Temp Tower PLA,ABS,PETG by stoempie August 21, 2017 https://www.thingiverse.com/thing:2493504 (CC BY-NC-ND 4.0)
結果、低めの190-195℃が一番きれいでした。200℃あたりから表面に荒れが見え始めて温度が上がるにつれて荒れてゆきます。メーカー推奨値の下限なのが気になりますが、基本設定は195℃(もしくは190℃)としましょう。
印刷温度を決めたので、この温度で総合印刷テスト用モデルを出力して様子を見ます。印刷速度はQIDIスライサーの設定のままPLAの半分の30mm/s(TPUの印刷速度は遅い方がよいそうです)、ファンは回す(100%)。印刷結果によってはそのあたりの設定を変えて再チェックします。
総合印刷テストモデル:MINI All In One 3D printer test by majda107 February 26, 2018 https://www.thingiverse.com/thing:2806295 (CC BY 4.0)
テストモデルの出来は予想していたよりもずっとよかったです。全体に糸引きが見られるのと、引いた糸が絡まったようなものがあちこちに出ているのが多少気になりますが、こすれば簡単に取れてしまうような極細糸なのでそのままにしておきます。それ以上に、弾力性が幸いしたのか80度のアーチの裏面が崩れずに持ちこたえていて、PLA並にきれいに出来ていたのには驚きました。他の箇所も特に問題ありません。満足したので追加の設定チェックはしないことにしました。
というわけで、TPU(PRILINE)の標準設定は:印刷温度195℃(190℃でも可)ベッド60℃、印刷速度30mm/s、ファンON とします。この辺の他素材の標準設定はQIDI XPlusでの確認結果で決めたものなので、Maestroでもそのままが最適値とは限りません。フィラメントの送り機構や冷却ファンあたりがかなり違っているため、こちらで大事な印刷をする前には設定をテストした方がよいでしょう。