文書の過去の版を表示しています。
仙台マイクロメイカーフェアへの出展
6/25に仙台市で開催された仙台マイクロメイカーフェア(Sendai Micro Maker Faire 2022)に出展してきました。東北エリアを中心にしたイベントで今回2回目の開催になります。
展示の内容はHPでの投稿記事にしましたが、ここではその展示物の準備を制作側の立場からまとめておきます。
経緯
- 出展を申し込んだ当初は3月開催の予定でしたが、新型コロナの感染状況がまだ収まらず延期となり、その後6月開催の連絡をもらいました。
- 「てのり(手乗り)からくりとかんたん機構(模型)」というタイトルをつけて、からくりおもちゃをメインで数台、おまけに機構模型の手頃なパネルを3台並べ、それぞれに手回しハンドルを付けて来場者に動かしていじってもらう展示のつもりでした。
- ただし新型コロナ対応も考えて、触らなくとも動きが見れるようにモーター駆動にしようと思い立ち、自動運転の仕組みの準備を始めると、主役だったはずのからくりおもちゃに手が回らなくなり、展示予定数も1つ減り2つ減りと当日は1台用意するのがやっとで、機構模型に主役の座を渡すことになりました。
- 当日は、開始早々からくりおもちゃが動かなくなってしまいましたが、それ以外はトラブルもなく順調に展示ができました。
「かんたん機構」
これまでにペグボードに差し込んで自由に作れる機構模型の各種パーツを作ってきましたが、今回は展示用に小型のパネル上に作ったものを用意します。
- ちょうど100均(ダイソー)に 40✕30cmサイズのペグボード(MDF)がありましたので、それを使うことにして、机の上に立てておくための足を新規作成です。
- モーター駆動のためのタミヤギヤボックス(ミニモーター薄型ギヤボックス(2速))を取り付けるパーツも今回使います。
- 機構模型を作り始めたときに使い始めたフィラメント(DEMA)がそろそろ終わるので、残りはジョイント関係の部品の追加作成に使うようにし、歯車のような材料を多く消費する部品には別のフィラメントを使います。歯車の色がまちまちなのはそのためです。3パネルも作るとなると、結構足りなくなる部品が出てきました。
- ダイソーのMDF製のペグボードは、ホームセンターで買った合板製のペグボードに比べると穴が緩めでした。部品によっては簡単に抜けてきそうなものもあります。特に、振動が大きく力もかかるモーター/ギヤボックスの取付部品が、動かしていると足が浮いてきたりします。後で差し込み部分を太めにした部品に交換することにします。
「てのりからくり(オートマタ)」
手に乗るくらいの小さなサイズのからくりおもちゃ(オートマタ)を想定して、現物がまだない状態から出展の目玉に挙げてしまったのですが、実際に始めてみたら、アイディア構想、設計、試作、製造と一連の作業がかなり大変だというのを実感しました。
一点ものではなく、再生産可能なものとして作るので、各プロセスできちんとしたデータをアウトプットしないといけません。
今回展示した自転車を漕ぐ人物は、透明アクリル板をレーザーで切り出して、各パーツを3Dプリントのジョイント部品でつないで、動く立体にしています。
構想
選んだのは、人が自転車を漕ぐモデルです。
基本は自転車のペダルのクランク軸の回転を足の曲げ伸ばしに変えてやる単純な動きです。ポイントは、足の曲げ伸ばしに合わせて体を上下にゆするところです。
この胴体部分は余計なリンクになっているので本来不要なところで、そのためにきちんと動作しなくなる可能性がありますが、設計時のシミュレーションを見ていて、動きに味が出ると思い残しました。
実物を動かしてみると、予想より体の位置が下がってしまい、想定通りとは行きませんでしたが、体の上下動はかろうじて残って動きを複雑なものにしてくれました。
設計データのアニメーション
<html>
<iframe width=“560” height=“315” src=“https://www.youtube.com/embed/S_CZm6_c1Ls” title=“YouTube video player” frameborder=“0” allow=“accelerometer; autoplay; clipboard-write; encrypted-media; gyroscope; picture-in-picture” allowfullscreen></iframe>
</html>
設計
- Fusion360で、自転車と人物、台座の各パーツを設計し、アニメーションの機能で動きを確認しました。
- 同じ元データから、アクリル版と3Dプリント版の2種類を作ることを考えていましたが、まずはアクリル版の方を作ることにしました。数種類の共通ジョイント部品を3Dプリントで作って、アクリル板から切り出した部品同士をつなぐ構造になります。
- 作ったモデルがうまく動いてくれるように、ソフト上のアニメーション機能でうまく動くまで調整を繰り返します。アニメーションで動いたからといって必ずしも実物がうまくいくとは限りませんが、この段階で動かないものは実物も動かないでしょう。
- 効率的に進めるため、共通ジョイント部品はシミュレーションには含めていません。
- アクリル板から切り出す図面を作成するためには、アドインのShaper Utilitiesを使いました。
- 使用するアクリル板は3mm厚、台座だけは安定のために5mm厚を使用しています。
制作
- アクリル板を図面通りに切って、3Dプリントした共通ジョイント部品を、アクリル部品を挟みながら組み立てます。
- 最初に組み立てて動かしてみたら、あちこち引っかかってすぐ止まってしまいました。部品同士の隙間や緩みが原因です。極力隙間なく固く組み付ける必要があり、かと言ってきつすぎると動きません。一部の部品の設計変更をして、注意深く組み立て直して、やっと動くようになりました。
- モデルも小さいし、かなりの力をかけてジョイントをはめ込む必要があるので、組立用の治具の必要性を感じました。
- モーターとギヤボックスは、ほぼ裸のままで直接アクリルのギヤーを回すように組み合わせました。
自動運転の仕組み(PLC)
開催延期に伴い追加した自動運転の仕組みですが、結構大変でした。
もともと常設展示スペースでの展示用として準備を進めていたので、ゼロからの出発ではなかったのですが、先に進むにつれて、やることがどんどん増えていき、自動運転のプログラムができたのは当日の朝になってからでした。
ベースとするハードウェアはUniPi1.1、ソフトウェアはOpenPLCということで別途進めていたものですが、今回の展示に使用するために以下の内容を追加します。
- 各モデルのモーター4つを自動運転。機構模型の3つは20秒間ずつ順繰りに動かしてゆく。オートマタの1つは、センサスイッチの入力があった時に20秒間動かす。
- オートマタの運転開始の信号用に非接触センサスイッチ(秋月電子通商 P-17317)を使用。
- モーターとセンサの電源は、別途ACアダプターで準備(5Vと12V)。5Vはタミヤのミニモーター(定格3V)用、12Vは、非接触スイッチ(5-12V)用だが、UniPi側の結線方法とデジタル入力電圧の関係で、外部12Vが必要に。
- 12VからセンサスイッチのLEDにも給電。
- ミニモーターの駆動は、先々の常設展示の際の電力効率を考えて、PWM制御のDCモータードライブキット(秋月電子通商 K-06497)を使う。
⇒ 最初は抵抗で5Vを減圧して使おうと思っていたのですが、この基板はPWM制御で省電力で、モーター毎の最大電圧設定と運転電圧の調整、回転方向の切り替えができ、ピンを通して外部からも制御できると、模型用モーターを使うには使い勝手のよいすばらしいキットです。
- 展示の際の作業を効率的にするため、ケーブル(2m✕3、4m✕1)とモーターはコネクタ接続にする。
- スタート/リセット用のタクトスイッチ(3個)をブレッドボードで用意。
このあたりは今後の変更も考えて仮設で済ませます。
- 樹脂製工具ケース一つにすべて納める。
⇒ホームセンターにある2段トレー付きの工具ケースの上1段を取り外して、トレー内に制御部分を、ケースの底には電源部分を収めました。移動時にはケーブルを中に入れてフタを閉め、取手を持って運びます。
ラダー図による自動運転のプログラムをどう作成すればよいかがわからず、最後まで苦労しました。自己保持プログラムに囚われすぎてわからなくなっていたのを、最終的に使わないことにしたらうまく動きました。
(かんたん機構)
- 各モーターは、単純にタイマー(TP)で、ONから20秒間運転して止まります。
- 次のモーターにバトンタッチするために、同じONから2つのタイマー(TP、TON)を組み合わせて設定時間(19秒後)に合わせたON信号のパルス(0.5秒間)を作り、それを次のモーターのONスイッチに設定しておきます。
- これを3つのモーターの間で順繰りに設定します。
- 一番最初だけ手入力のスイッチで自動運転を開始できるように入力を追加します。
(てのりからくり)
- 非接触スイッチのON信号により、タイマー(TP)で20秒間モーターを運転して止まります。
終わってみて
間に合わないのではと追い詰められ続けた準備作業でしたが、おおむね展示もうまくいき、来場者の方の反応もよかったので救われた感じでした。
せっかく作った展示物なので、後日改めて動いている動画をきれいに撮影して公開しました。
今回主役の座を奪われたからくりおもちゃの制作を進展させることと、機構模型を常設展示スペースでの自動運転展示に移行させることを当面進めてゆきます。













