購入して届いた段ボール箱は、以前の機種のものよりちょっと小さめですが、それでも建物のドアを通すときに、手を横に回したままでは入れませんでした。
梱包された箱の重さは全部で31Kgあり、かろうじて大人一人で持てる範囲ではあると思います。
内部の梱包材は、上下を発泡スチロール、側面にエアチューブが使われています。
開梱作業は、梱包箱から本体を取り出すところが一番ポイントになります。30Kg近くある大きな本体を梱包箱から取り出すのは、一旦作業を始めたら途中で止められない難しさがあります。失敗したら腰を痛めてしまいそうです。2人でやるべき作業でしょうね。
段ボールを解体して本体を取り出すのが、一番力は要らないと思いますが、もしも初期不良や破損があって返品するとなったら、新しい梱包箱の手配から始めないといけなくなります。
箱を開けて、本体を上に引き出す際には一つポイントがあります。この本体にはちゃんと持ち手のくぼみが両側にあり、そこを持って体を密着させて引き上げれば、無理な体勢にならずにスムーズに引き出すことができます。
写真とかでも色に紛れてわかりにくいのですが、側面中央にありますので、まず持ち上げる前に手を差し入れてくぼみの場所を確認して、持ち上げるイメージを作ってから作業に移りましょう。変なところに手を突っ込んで引っ張ると本体が壊れるおそれがあります。
使い始めまでの準備は、同梱のクイックスタートガイドの冊子に合わせて作業します。説明に出てくるパールコットンという言葉が見慣れないですが、発泡スチロール等の梱包材と思っていれば問題ありません(パールコットンとは、もっと柔らかいペラペラの梱包材(ポリエチレン発泡コットン)のようですが)。
ACコードのプラグは3Pです。コンセントが3P対応でなければ、3P→2Pの変換プラグは自分で用意しないといけません。
電源に関しては、230/115Vの切り替えスイッチが日本国内用の115V側になっているか確認しておくのが確実ですので、実際に確認しようとしたら大変な作業になりました。
本体底面の手前側の電源ユニットに奥向きにスイッチが覗いているので、一人で確認するのは至難の業です。重い本体を傾けてカメラを差し込んでスイッチの状態を撮りましたが、危ないので正直おすすめしません。
クイックスタート冊子の手順では、本体内にまだ梱包材が残っている状態で、本体に電源を入れるように書いてありますが、これは、設置準備の各手順が操作画面に表示されるようになっているためです。
始めに行う表示言語選択のところで「やまと」と出てきたのはとても新鮮な驚きでした。
駆動部分を固定しているインシュロックタイが太く硬いので、取り外すのに苦労します。Z軸を固定している4本については、内側の不要な部分を短く切って取り除いてから、外側の部分を強く引っ張って引き抜くのがよいと思います。
使い始める前に、較正作業を行います。冊子と違って初期設定画面には出てこなかったので、メニューから自分で実行します。①Z軸のオフセット設定、②オートベットレベリング(16点)、③共振補正(Input Shaper)と3つあります。
レベリング関係は、ヒートベッドの温度を印刷時程度に熱くしてからの方が精度が上がるとのことで、まず温度を上げます。
従来機でも、冷えた状態でレベリングすると、温度が上がったときにズレがある印象を持っていましたが、それがヒードベッド側とプリントヘッド側のどちらの温度が影響しているのかがこれまでよくわかりませんでした。
Z軸のオフセット調整用に使うカードは、従来機についてきたカードよりもかなり薄いものに変わりました。
オートベッドレベリングを実行したら、Z軸オフセットの作業も含まれていました。こちらだけでよさそうです。
また、個々のプリントをするときの画面上で、この処理を最初に行うかどうかを選択できるようになっています。そんなにしょっちゅうやってもどうかとも思いますが、ビルドシートの下にゴミなどが挟まって表面が凸凹したときなどは役に立つのでしょう。
また、個々のプリント時に行うオートベッドレベリングには、Z軸オフセットの作業は含まれていません。
共振補正では、機械を振動させて固有の共振周波数を調べます。振動の周波数をスイープさせるので、高音から低音までうなり音が響きますが、異常ではありませんので放っておきます。共振補正は一度やれば当面は十分ですが、設置場所を変えたときにはまたやっておけばよいと思います。
まず最初は、黒の同梱フィラメントで、本体に登録されているおまけデータ(フィラメント取り付け用の軸部品)でプリントしてみました。その後は、フィラメントテストにいつも使っているテスト用3Dモデルも出力してみました。
初回は、フィラメントが定着できていない部分が出てきたので中断。フィラメントの取付時にメニューの装填をしていなかったのに気がついて、装填実施。
2回目には、表面がむしれたような状態になったので、またプリントを途中で中断して、Zオフセットの調整をし直して再プリント。
今度はきれいなプリントになりました。
おまけデータは、スライスされてできたGコードなので、プリント設定はわかりませんでしたが、プリント予測時間は1h54mで、モデルの大きさからは、従来の1/3ぐらいの時間のイメージでしょうか。
最初のプリントは、形状も、プリントの表面も非常にきれいな3Dプリントになりました。速いからプリントが汚いだろうという思い込みを良い方に裏切ってくれます。
フィラメント側の性質でしょうが、半艶消し程度のツヤがあってしっとりした精密感が感じられます。同梱フィラメントはQIDI純正のPLA Rapido(黒)の試供サイズ品です。
テストモデル
これまでにたくさんプリントしてきた中でも、かなり良好にプリントされたものの一つになりました(1番とまでは言いませんが)。オーバーハング部分も持ちこたえており、微小な部分もきっちり造形できています。
同梱フィラメントについて
高速でプリントヘッドが行き来するため、本体が揺れることは結構あります。従来機以上にしっかりした台に載せたほうがよさそうです。
X-Maxでは、ルミナスのパイプラックを使って頑丈な設置台にしましたので、今回も同様にルミナスラックを使います。
一点問題が出てきました。本体の高さがX-Maxとは異なるので、台の高さが同じだと、設置後やけに低くなってしまいます。机の上に仮置きして使い始めて、この機種は普通の机の高さで使うのが一番使いやすそうだと感じますので、設置台もそのくらいの高さにしたいのですが、前回使った延長ポールのラインアップが15cm単位で、それだとちょうどよい高さに合わせられません。
色々考えた結果、あらかじめ高さが高いラックのセット品(25mm径パイプ 3段 幅61×奥行46×高さ95.5cm)を買って、ポールを短く切断して高さを合わせることにしました。そのためにチューブカッター/パイプカッターという切断工具を初めて使ってみました。
4本の鉄パイプを切断するだけなので、モノタロウPBの安いものを購入しましたが、きれいに切断できました。 工具のローラーへのパイプのセットが不十分な状態で切り始めないことと、時間をかけて少しずつ工具を回転させるように気をつければ、失敗しないと思います。工具の回転刃を長持ちさせるためにも切削油は差しながら切ります。
パイプの切り口が鋭くなっていて危険なので、工具に付いている別の刃で、尖った角を削って丸めておきます。
天板はワイヤーではなくテーブル状のものが必要なので、結局追加購入しました(本体底面より奥行きが2cm程短いですが、横のポールの出っ張りもぶつからず、ちゃんと収まります)。最初からTVラックのセット+延長ポール(切断)にすれば良かったです。
設置台はできたものの、場所を取るので室内のレイアウトの方がなかなか決まりません。