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activities:products:mechanical_model_samples

文書の過去の版を表示しています。


展示用機構模型の作例

穴あきボード(有孔ボード/ペグボード)上に規則的に開いた穴に、3Dプリントで作った部品を差し込んで、好きな動きを作って楽しめるコンセプトの機構模型で、展示用にモーターで動かすようにしたものをいくつか作ってきました。過去記事にも登場していますが、あわてて作って記事にもしていなかったものもあるので、ここで作例を整理しておきます。
モデル一式を仕上げることで、部品の設計や制作では気が付かなかった課題に、色々と気付かされます。

1)SMMF(Sendai Micro Maker Faire) TypeA (1号機) 歯車とリンク

仙台マイクロメイカーフェア2022 (2022/6/25)で展示、その後展示スペースに設置


歯車の大きさに応じて回転の速さが変わるところとリンク機構で弧の動きをするところがポイントです。歯車も大きめのを作りました。あまり無理したところもないので、いつも快調に動いてくれます。


2)SMMF TypeB (2号機) 大小2本のリンク

仙台マイクロメイカーフェア2022 (2022/6/25)で展示、その後展示スペースに設置


回転をリンク機構で弧の動きに変えるものですが、長さの異なる2本のリンクロッドの動きの違いがポイントです。1本はかなり長いロッドですが、水平に長いので、モーターの負荷はそれほどでもありません。


3)SMMF TypeC (3号機) 遊星歯車

仙台マイクロメイカーフェア2022 (2022/6/25)で展示、その後展示スペースに設置


前から興味のあった遊星歯車をこの穴あきボード上で作るためにはどうしたらよいか結構悩んだモデルです。
通常の歯車は、ボードに固定した軸部品に取り付けられ、空中で回転しているので、フリーで動きまわるような歯車を支える手段がありません。考えて、外側の内歯車の片面に壁を設け、もう一方の側にはガイドとなる枠を作って、中に入れたフリー歯車を両側からはさんで脱落を防ぐ仕組みにしました。とは言うものの、このガイドがフリー歯車に引っかかったり、歯車を隠したりしては意味がありませんので、円を重ねた透かし彫りのような向こうが見える枠の形状にしました。







これでうまく遊星歯車の動きをしてくれていたのですが、何ヶ月かたつと止まってしまいました。よく見てみると、内歯車全体がたわんで内壁が湾曲していました。使用したPLAがこれだけ変形したのを見るのは初めてでしたが、大きな部品だからこそ目立つのでしょう。


4)4号機 2本の腕

(展示スペースに設置 2022/10/4~11/29)



左右に垂らした2本の長い腕を上下に振る動きが、人に似た印象のモデルですが、重たいリンクロッドを持ち上げる時にモーターの負荷が最大になり、よく止まったりしていました。
そこで、展示するにあたって止まることが無いよう、モーターのトルクを上げるために動作電圧を引き上げたのですが、その分動きが速まってせわしなくなり、さらにモーターが死にそうな音を立てながら動くようになりました。
一月ほど展示し、次の展示モデルに置き換えた後で調べてみると、部品同士のガタつきが大きいところがあり、それが良くなかったようです。そのような箇所を次の5号機用に作成した修正部品に入れ替えたら、かなりスムーズな動きをするようになりました。


5)5号機 ラック歯車

(展示スペースに設置 2022/11/29~)



モーターの回転運動をラック歯車の水平の往復運動に変えます。さらに水平運動から歯車の回転運動も起こします。動かす部品も多くて重く、摩擦も大きいのでモーターの負荷が大きく、当初なかなか動いてくれませんでした。このために修正した部品をいくつも投入してやっと動くようになりました。

  • 不定動作にならないための工夫
    このモデルで一番のポイントがここです。2枚の同じ大きさの歯車を1本のリンクでつないで、回転を弧の往復に変えたいです。実際にやってみると、片方を回転させるともう一方は弧の往復をしてくれることが多いのですが、2つの歯車を結ぶ線に対してリンクロッドが平行になったり、交差したりとまちまちな動きをして動作が決まりません。そこで、片方の歯車とリンクロッドの接続箇所を短いスロットに変えて、ロッドの向きが平行から交差に切り替わる点(死点)まで回らないようにしました。これで平行(または交差)状態をずっと保ちつつ、弧の往復運動を続けてくれるようになりました。
  • 歯車の噛み込み防止。ベベル、噛み込み防止板追加。連結した歯車は、別々の2つの歯車と噛み合いますが、それらが隣の歯車と接触して止まってしまいました。噛み込みが起きないように、連結歯車の間に薄い円盤を入れて噛み込みの発生を防止しました。


  • 動きを伝えるリンクロッドの位置がボードからかなり離れていることで、回転軸に横に力がかかって歯車が斜めになりながら回っています。
    ⇒ 歯車がボードに平行に回るように対策部品を作りました。

    • 回転軸のまわりで歯車を支える部品を大径化することで、斜めになりにくくします。

    • 斜めになるには隙間が必要ですので、歯車の前後の隙間を最小にするために、スペーサーの厚みをギリギリまで増やします。きつすぎれば今度は回らなくなりますので、現物合わせで調整します。
  • 負荷は回転中に均等にかかるわけではなく、部分的に大きくなります。


感じた点・課題

  • 使っている穴あきボードの格子状の穴同士の距離が25mmで、その前提で噛み合う大きさの歯車を設計すると種類が限られます。それらを組み合わせるので、レイアウトもそれほど自由にはできません。
  • 3Dプリントによる部品の精度はあまり高くありませんが、そのような部品でも動けるくらいのゆるさを持たせています。その代わり、部品同士のガタが大きくなるため、動きが重くなったり、引っかかったりすることがあります。
  • 出力の小さな模型用モーターギヤボックスで駆動しているため、モーターの能力ぎりぎりの動作になりがちで、止まってしまったりします。
    他の部品と同じようにボード上に取り付けるため、なるべく横幅の狭いギヤボックスが望ましく、横幅で選んだのが現在使っているものになります。値段も安くて入手性もよいものの、シャフトの固定方法もただ押し込むだけとか、もともと重い負荷をかけるような製品ではないです。
    能力的に無理しているモデルが多いのはわかっているので、ギヤ比がより低速の別のギヤボックスも使えるように取り付け部品を作成中です。



※機構模型の各部品の制作はこちらの記事

activities/products/mechanical_model_samples.1670592109.txt.gz · 最終更新: 2022/12/09 22:21 by Staff_Ujiie