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tools:3dprint:qidi:print_head_disassembly

プリントヘッドの分解 (X-Plus/X-MAX)

写真はX-MAXのプリントヘッドです。こうやって見ると、ノズルの入り口も少し違いますね。
QIDI X-Plus/X-MAXは、プリントを行うホットエンドと、そこにフィラメントを送るエクストルーダーが一体になった、ダイレクトエクストルーダータイプのプリントヘッドがついています。フィラメントがうまく送られなくなったときには、この部分を分解する必要が出てくることもありますので、その手順をまとめました。

分解が必要な不具合とは

  • フィラメントをプリントヘッドにセットしようとしたときに、ヘッドからカツカツと音がして、フィラメントが途中から入らなくなることがあります。
    これは、ヘッドの中のエクストルーダーとホットエンドの間の経路上に、前に使ったフィラメントのかたまりが残っていて、新しいフィラメントがつかえて入らなくなっている状態です。熱いホットエンドの外なので溶けて出ていってくれることもなく、エクストルーダーが新しいフィラメントを無理やり押し込んでくるので、途中でつかえてしまいカツカツと音がします。たいてい経路よりも太くなって固まっているので、前にも後ろにも動きません。
  • こうなってしまった場合は、プリントヘッドを外して分解し、問題のフィラメントの固まりを取り除かないかぎり新しいフィラメントが使えません。幸いこの作業はそれほど難しいものではありませんので、やってみましょう。


1)プリントヘッドの本体からの取り外し

  • プリントヘッドを取り外す手順は、
    • 工具と分解作業する場所を用意して、本体の主電源をOFFにします。
      工具は製品に付属するL字の六角レンチ大/中/小のうち大と中を使います。

    • カバーを外したところ 隣はフィラメントを差し込む穴ですヘッドの上面にあるネジ1箇所を外し、カバーを真上に持ち上げて外します。




    • 六角レンチの大を使用 ネジ2箇所次は下面のプリントノズルの両脇にあるネジを2箇所外します。そうするとヘッドの中身が台座に固定されていない状態になります。



    • 本体からプリントヘッドに信号を送るフラットケーブルをはずします。基板につながっている部分のコネクターの両端のポッチを押しながら、横に引っぱって外します。ポッチを押すと、コネクターの抜け防止用の爪が引っ込んで、外れるようになります。
      このコネクター 矢印のポッチを押すと 爪が引っ込みます
  • 注意点 (電源OFF、温度、ネジ落とさないように)
    • 事故防止のため、電源は最初に切っておいてください。主電源スイッチから落とすか、コンセントを抜くかしたほうがよいです。

    • ノズルの温度が高いままだとやけどしかねません。やけどしなくとも、熱くて部品を落としてこわしたりしかねません。たいていこのトラブルは新しいフィラメントを取り付けるために温度を上げている時に起きるので、充分冷めてから作業を始めてください。

    • 本体内部でネジを落として、それがフレームの下に入ってしまうと、本体を逆さにでもしないかぎりまず見つかりません。私も1個やってしまいました。ネジのつけ外しの作業は細心の注意を持ってやってください。特に下からネジを脱着する箇所で落としやすいです。
  • X-PlusとX-MAXの違い
    • QIDI X-PlusとX-MAXは共通の部品が多く使われている兄弟機種ですが、ヘッド周りの部品は少し違っていました。(XPlusでもそのまま使えそうなので、機種の違いでなくて生産時期の違いによる改良版ということなのかもしれませんが)XMAXでは、プリントノズルにFANからの風を送る部分が別部品になっていて、まずネジ2つで固定されたその部品を取り外さないと(真下に引き抜けます)、ヘッドを外す方のネジが現れません。
      わかってしまえばなんてことはない部分ですが、最初はネジが見つからなくてあせりました。
      (左:X-Plus、右:X-MAX)
      X-Plus X-MAX。ノズルを冷やす部品が追加です 導風部品
  • ポッチ破損のフラットケーブルの取り外しの方法
    • フラットケーブルを外す際にコネクターのポッチを折ってしまう(弱い樹脂部品なので、何回もつけ外しのために押していると高い確率で折れると思います。私は3箇所折りました。参考記事)と、コネクターの抜け防止の爪が引っ込まなくなってコネクターが抜けなくなります。
      とはいえ、力まかせに引っ張って外したりしていると、そのうちコネクターか基板側の接点がゆがんで接触不良を起こしてしまうと思います。
      爪の部分は、折った部品の付け根の金属部分を代わりにピンセットなどで押しこんでやれば動いてくれるので、押しながらコネクターをゆっくり引っ張って抜きます。
      取り付けるときにはコネクターを挿すだけでバネで爪が引っかかってくれますので、何もする必要はありません。
      ここのポッチが 反対側は取れてしまいました ピンセットで押しながらコネクターを抜きます
  • ポッチが折れてしまったコネクターを抜き差しする時は、上述のように最初は尖ったピンセットの先で根元部分を押していましたが、もっといい道具を見つけました。
    この3Dプリンターに同梱されているメンテナンス用の3本のL字六角レンチのうち、一番細いものが、ポッチが折れた後のコネクターの隙間にぴったりだということがわかりました。先も尖っていないし、小さく場所も取らないので使い勝手も上々です。狙った部分をしっかりと押すことが出来ます。
    下のやつです 押すと左の爪が引っ込んで、コネクターが外れるようになります


2)プリントヘッドの分解

  • 分解の手順
    • 左側右側まずヘッドがどんな作りになっているかよく観察しましょう。鉄のフレーム、電子基板、冷却FAN(2個)、放熱板、ホットエンドとエクストルーダーが何本かの六角ネジで止まっています。

    • このネジをゆるめると基板まわりがはずれますまず小さい方の冷却FANを止めている2本のネジを外します。組み立てる時に迷わないように、どこにどのネジが使ってあるかわかるように整理しながら外してください。今回はエクストルーダーだけが取り出せれば良いので、電子基板につながっているコネクター類は外さなくても大丈夫です。

    • 放熱板に並ぶ3つのネジ頭のうち両脇の2つを外します。これでエクストルーダーと、放熱板+ホットエンドが分かれます。3つのうち真ん中のネジは、ヒートブロックと放熱ブロックを固定しているものなので、今回は外す必要はありません。
      こちらのネジを外すと 全体がばらけます ノズル側の入り口が見えます

    • エクストルーダーの出口の穴付近に、つまりの原因となったフィラメントの小さなかたまりがあるはずです。先の細いピンセット等を使って取り除き、フィラメントが通る経路を全部キレイにします。このときエクストルーダの歯車につながったプラスチックのレバーを引くと、フィラメントの通り道が広がって取りやすくなります。固まりが取れたら、フィラメントが出てくる穴を覗いて、全部取れたか確認しておきます。
      穴からちょっと何か出てます レバーを引くとよく見えます 取れたかたまり 穴を通して向こう側が見えます


3)ブリントヘッドの再組み立て

  • 再組み立ての手順
    • バラバラにしたときの逆の手順で組み立てます。

    • まず、エクストルーダーと放熱板と放熱ブロック(+プリントノズル)を組み合わせます。放熱板にエクストルーダのシャフトが当たる部分が丸く切り抜かれていますが、ここでシャフトと放熱板がぶつからないように、なるべく穴の中央に来るように位置を微調整しながらネジを締めます。
      シャフトが接触しないように 元通りに
  • 注意点
    • 複数箇所のネジ締めは、最初からきつく締めることはせず、交互に均等に力をかけていきます。

    • 樹脂部品のネジ止めは、金属部品同士のときより力をセーブして、締めすぎで部品をこわさないように注意します。


4)本体への取り付け

  • 組み立てが終わったヘッドを、本体側の台に固定します。とにかくネジを下から止める作業はネジが落ちて紛失しないように注意してください。
  • XMAXの場合は、FANからの導風パーツもあるので、忘れず取り付けます。
  • フラットケーブルのコネクタをはめてつなぎます。バネで固定されるので今度はきちんと押し込むだけです。
  • カバーをかぶせてネジ止めして取り付けは終わりです。
  • 本体に取り付けます X-MAX 真上からかぶせます


5)動作確認、調整

  • プラットホームのレベル調整
    • プリントヘッドを外して付けたので、プリントノズルの高さが微妙に変わっている可能性がありますので、本体メニューからレベル調整を実行して、ノズルとプラットホームの距離を合わせておきます。
  • プリントテスト
    • フィラメントをエクストルーダーに取り付けて、実際にプリントして問題がなければ終わりです。


つまり防止のための注意点

  • フィラメントの外し方
    • エクストルーダーの中に残ったフィラメントの固まりは、フィラメント交換で取り外し作業をするときに発生しています。フィラメントを抜き取る際に、溶けて柔らかかったフィラメントの先がちぎれてエクストルーダ内に取り残され、そこで冷えて固まります。固まる時に少し太くなるので、次に新しいフィラメントが入ってきた時にホットエンドに戻ることもできなくなり、結果つまりの原因になります。

    • フィラメントを外す際には、本体の引き出しボタンを押してすぐに引っ張って抜き取りますが、そのときにゆっくりしていると、引き出し中に冷えて固まり、途中でつかえてちぎれるということが起きがちです。固まる時間を与えないように、多少乱暴でもすばやく引っこ抜くようにしましょう。


tools/3dprint/qidi/print_head_disassembly.txt · 最終更新: 2023/12/25 11:30 by Staff_Ujiie