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うごく常設展示の更新(自転車オートマタの追加)

自転車オートマタ改
非接触スイッチ
展示スペース内に設置した機構模型に加えて、自転車を漕ぐオートマタを追加しました。もちろん動きます。機構模型のほうは人が近づけば勝手に動き出しますが、こちらは、動かしたい人が自分でスイッチを入れて動かすことにしました。スイッチには、手を近づけるだけでオンになるものを使います(このあたりは仙台マイクロメイカーフェアでうまく動かなかったもののリベンジでもあります)。

追加展示で行った内容

  • 自転車オートマタの改良版を作成、適当な台に載せて設置しました。
  • 今回の一番のポイントは、非接触スイッチの筐体の作成と設置です。形状も変わったものにしました。
  • 自動運転のプログラムは、当初からこの追加分も組み込み済みだったので、後は配線を間違えないように設置するだけでした。
  • 先日、設定を試みてうまく出来なかったRTC(リアルタイムクロック)のラズベリーパイへの設定を行いました。
    スイッチは粘着剤の固まるのを待って養生中


自転車を漕ぐオートマタの改良

  • 最初に作った自転車オートマタの欠点は、動きがぎこちないことと、しばらく動かしていると途中で歯車が引っかかって止まるときがあることでした。常時運転には不安が残ります。
  • アクリル板を切り出して各部品を作り、3Dプリントで作ったコネクター部品でそれらをつないで形にする基本構造ですが、動いているところを前から観察してみると、足が平行になっておらず、ハの字型に少し開いています。このため長く動かしているうちに、接続部分に緩みが出て、部品同士の位置が変わり、引っかかる原因になっているようです。
    アクリルパーツ コネクター部品 正面から。少し足が開いています
  • 肩、腰、腕に幅広部品を使います接続用のコネクター部品にもっと幅を広げたバリエーションも追加して、各部品が平行を保ちつつ動けるように部品を選択して組み立て直しました。部品同士の平行が保たれていれば、動いている際に横にかかる力も少なくて済むので、ズレは起きにくくなります。


  • 治具;思ったより使いにくく要改良ですコネクター部品は、修理や改造をしやすくするために、接着は行いません。部品同士をはめ込んで固定する方法を取っています。寸法をかなりきつくした部品同士をはめ込むので、組み立てには力が要り、誤って壊してしまったりもしやすいです。そこで、必要なところに力がかかり、かつ持ちやすい治具を作成し、組立のし易さとはめ込みの精度向上を目指しました。
  • 3DCADソフト上で行うシミュレーションに比べて、実物(上の動画)は2本の足だけで支えている胴体の位置がかなり下に落ち込みます。胴体が落ちる分、足も曲がったままでペダルを踏むような動作になり、ぎこちなさにつながっています。
    もともとこの自転車にはサドルを付けませんでした。胴体が動くのを邪魔したくないということで付けなかったのですが、サドルで胴体を支えれば足の動きはなめらかになります。
    サドルを付けました実際にサドルを付けてみることにしました。シミュレーション上では、それでも胴体は上下してくれたのですが、実際に作ってみると、胴体は全く動きませんでした。足は軽やかに回ります。ちょっと動きは物足りないのですが、安定と姿勢を優先して今回の設置はこれで行くことにしました。
  • サドルなしのモデルを動かしながら、胴体を手で支えてみたりしてみると、サドルがあっても胴体が動いてくれる高さというのはありそうです。ただしそれはかなり狭い範囲に限られます。サドルを付けて姿勢を良くしつつも胴体が上下に動いてくれるのが理想なので、この辺はもう少し検討してみます。
  • 青と透明のケース展示にあたっては、見やすい高さを確保するため、家にあった10cmくらいの高さの適当なプラケースにアクリル板を貼り付けて台にしました。ミラーアクリルを使って、映り込みも目に入るようにしています。



  • パーツの透明アクリル素材を活かすため、この先簡単な電飾も行う予定です。


非接触スイッチの作成

これまでに非接触スイッチの部品の動作は何度も確認済みなので、今回はスイッチ全体の形状と設置方法を決めていきます。

  • この部品は、別途設置している焦電センサと同様に赤外線を検出するので、ガラス越しの設置はできません。そのためウィンドウの外に設置するしかないのですが、もともと屋外用の部品ではないので、雨風の影響をなるべく受けないような工夫が必要です。
  • 設置場所はウィンドウの側面の少し奥まった軒下に設置します。それでも風の向きによっては多少は雨がかかることもありそうです。
  • スイッチは、センサー部分に直接雨が当たることがないように下向きにつけることにしました。手をかざすとアルコールの霧をかける器具のイメージが近いです。
  • 考えたイメージは、シャワーヘッドのようにも見えます。スイッチのセンサー周りには、直接触らないように、尖ったを付けました。センサーにはLEDが組み込まれているので、その光が透過するのを期待して牙は透明にします。
    組み込んだスイッチからは内部を通って配線を下から引き出して、コントローラまでケーブルを引き回します。
    ショーウィンドウ内部の展示とのつながりを多少とも感じられるように、ガラスを挟んで一部が屋内に突き出したような形にしました。
    初期型 下から 断面

  • 牙有り試作3DCADでデータを作成し、寸法的には厳しそうでしたが、まずはそれで3Dプリンタで作ってみました。
  • 金属製みたいに見えるよう、銅色のPLAフィラメントを使用しました。
    牙の部分は試作のPLAでは簡単に折れてしまったので、透明PETGを使うことにしました。
  • 3Dプリントで作成する場合、中にケーブルを通す曲がったパイプ形状の内部がうまく成形できるかが問題です。
    全体的にはサポートが必要な形ではあるのですが、曲がったパイプの内部にサポートが作られてしまうと後で除去するのは至難の技です。今回は、内部のサポートができそうな場所にサポートブロックを付けて強制的に一部のサポートを外しました。当然サポート無しになった部分がちゃんと形になるかは怪しく、やってみないとわかりません。
    プリントの結果、元の3Dモデルからはすこし歪んだ感じになってしまいましたが、これ以上うまく作れるあてもないので、このまま使っていきます。
    全体のサポートはこんな感じ 中にもサポートができてしまいます サポートブロック(グレー)のやりくりで内部のサポートを除去 丸みが減っています

  • 出力した試作品の部品を組み立ててみます。寸法的にはスイッチ部品の取り付け部分の奥行きが足りず、さらに部品の後ろから出ている5本のワイヤーと、コントローラ本体まで引き回すケーブルの接続部分がとても収まりそうにありません。設計の手直しが必要です。パイプ部分はなんとかケーブルを通すことができました。
  • スイッチを収めるヘッド部分の設計データをあれこれいじっているうちに、複雑になりすぎてうまく変更ができなくなってしまい、結局その部分だけを新たに作り直しするはめになりました。最終版釣り鐘のような形になりました。
    左:改、右:最終版 断面図。奥行きを確保 実物の比較
  • 組み立て引き回すケーブルには4芯で細いロボットケーブル(協和電線)を使用し、センサー側とのケーブルのはんだ付け部分は、手持ちの熱収縮チューブだときつそうなので、代わりにテフロンテープで絶縁しました。
  • スイッチからのワイヤーは5本出ていますが、うち2本は独立したLED用なので、今回はケーブルの4芯に合わせるためにLED(-)をセンサの(E)と共通にして4本に合わせました。
  • したから手をかざして。吹き出しの形の指示板もアクリル板から切り出して作りました。彫刻した文字にアクリル絵の具を埋め込んでいます。




  • 設置場所で養生中 本体接着中各部品の組み立ては、浸水しないようにシリコン粘着剤を多めに使って行いました。設置場所への固定も同様です。



自動運転プログラム(PLC)

非接触センサースイッチONの信号を受けて、模型用モーターとセンサに付いたLEDをONにするシンプルなものです。

  • 勝手に動くのと違って、見たい人が自分でスイッチを入れて動かすので、動作時間はある程度長めに、10秒間と設定しました。足りなければ再度スイッチを入れてくれるでしょう。
  • 非接触スイッチは、下向きだと実際にスイッチが入ったかどうかの判断がつきません。スイッチを入れたことと、模型が動くことの繋がりを自然に感じるように、スイッチに付いているLEDは即ON、モーターは0.5秒遅らせてON(タイマ)にします。

PLCプログラム(ラダー図(PDF))中の「Gr2_MotorD」の部分です

RTCの設定

ラズベリーパイの時計は、電源が入っていないときはストップしています。電源が入ると前回止まったときの時刻からスタートするように設定されています。これでは、電源を落としたら都度時計合わせが必要になります。
Unipi1.1にはRTC(リアルタイムクロック)が搭載されているので、その機能を利用できれば、システムの立ち上げ時に正しい時刻への自動更新ができます。

  • RTCモジュールUnipiの説明書に詳しいことは書いてないので、RTCのラズベリーパイへの設定について書かれたWeb記事を集めて、参考に設定を始めてみたのですが、記事と異なる部分が出てきてストップしていました。今回もう少し詳しく調べて、やりたかったRTC時刻の自動設定ができました
  • ここは展示物の設置とは別種の内容で、分量もあるので、別ページにまとめることにします。


今後の対応

  • 実際に設置して動いているのを見ると、正直ちょっと地味です。もともと予定してはいますが、LEDの部分照明を組み込んできれいに見せるようにバージョンアップしていきます。機構模型の方も、上方からの全体照明だけでは薄暗がりになってしまい、夜はあまり目立ちません。
    照明はただ照らすのではなく、PLCの自動運転の一要素として光らせ方もいろいろ考えるべきでしょう。


activities/products/moving_display2.txt · 最終更新: 2022/08/14 09:54 by Staff_Ujiie