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立体地形図模型

霊山です。お菓子ではありません

概要

国土地理院から提供されている地形図データの中に、高さを反映させた立体地形図があります。誰でも自分で好きな範囲を選んで立体地形図のデータをダウンロードできるような仕組みも用意されています。

このデータはモニタの画面上で立体で見ることができますが、それを3Dプリンターで出力すれば、簡単に自分だけの地形図模型が手に入ります。これこそまさに3Dプリンターの使いみちだと思い、色々出力して可能性を探ってみました。
(以前にブログ記事として投稿した内容「自宅付近の立体地形図を作ろう(2020年7月19日)」と重なっています)

検討

使い道

  • 最近だと、頻発する防災関係のニュースで、身近な被災リスクのある場所や安全な場所を知っておくために立体地形図模型が使われている報道も目にします。紙や画面で見る地図に対して、河川と土地の標高の関係や流域の広がり、土地の傾斜や付近の危険な箇所との地形的な関係などが直感的にわかる利点があります。
  • 普段生活していて、周りにいつも見ている風景よりも広い視野から自分の住んでいる地域を俯瞰する手段としても優れていると思います。地図や航空写真で見るよりも、実際に見える地形の延長が縮小された模型としてリアルに感じられると思います。
    ARで立体地形図を見れるiPadのアプリがあったので見てみたらすごいですね、びっくりしました。あえて模型にする必要はあるのかとも思えてきます。
    模型のメリットは、ソフトウェアのような操作がいらないので、いつでも誰でも見て触って共有して理解できるという間口の広さではないでしょうか。
  • 立体地形模型は、有名な山域については、市販もされていますが、いかんせん購入者数が見込まれる人気のある山に限られています。地形図データから自作するのであれば、地元のどんなにマイナーな山であろうと国内の山なら山岳模型のコレクションが作り放題です。
  • 対象の地形は、山に限るものではなく、河川や湖沼でも、ダムでも、谷でも、海岸でも、どんなスケールでも範囲でも、国土地理院データがカバーしている限りは作れます。
  • また、アレンジも自由です。好きな色を塗ったり、架空の建造物を追加してみたり…


データのダウンロード手順

国土地理院HP

  • 国土交通省国土地理院のページはこちら
    内容が盛り沢山で迷子になってしまいそうですが、地理院地図を表示させて、右上のヘルプを開くと詳しい使い方が載っています。立体地形図データの使い方の動画もありました。


ダウンロードの手順

  • 投稿記事の2)立体地形図データの作り方を参照ください。そういえば、当時手順の動画も作成していました。


3Dプリント

  • 投稿記事の3)3Dプリント、4)印刷結果と課題を参照ください。(印刷時間は3Dプリンタの印刷速度に依存しますので、あくまで参考値です)。


課題と今後

追加加工

  • 家庭用3Dプリンターで作成した立体地形図は、色が一色で、地図上で表示されている様々な情報が表示できません。地形の形が知りたい場合は付帯情報が多くてもうるさくなってしまいますが、せめて主要道路や河川、鉄道などの場所がほしいという気にはなります。それらがわかるようにする方法を検討してみました。詳細を書き始めると長くなってしまうので、まずはさわりだけ。

カラー3Dプリンターを使う

  • フルカラーの3Dプリンターというのもあるので、それで出力する(そのままですね)。石膏フルカラーとUV硬化インクジェットと2種類の方式があるようです。線や文字がどの程度はっきり表示できるかがポイントだと思いますが、使ったことが無いのでわかりません。


透明な地図情報を重ねて使う

  • 地図の上に、道路等を描いた透明のシートを重ねて、上から見る。利点としては、シートを交換したり更に別のシートを重ねれば内容を簡単に変えられるところです。
  • 薄いアクリル板に、レーザー加工機で主要道路と鉄道など表示したいものを彫刻加工し、立体地形図模型と重ねてみました。アクリル板上の線や文字がくっきりしているので、割と見やすいです。アクリル板を定位置で固定する枠を作れば、使えそうです。
  • 難点は、表示したいデータの作図でした。地形図から欲しい情報だけ抜き出すのが困難で、地形図をなぞって自分で線を引いたほうが早かったです。

重ねる図をレーザー彫刻 各種線と文字 重ねたところ 暗い色の模型の方が合います。(全然別の場所です)

3Dモデルに付帯情報を立体データで追加する

  • 地形図3Dデータ上に道路や鉄道などの線を3Dデータで追加する。後は単色の3Dプリントをするだけです。
  • 3Dデザインソフト(Fusion360)に地形図モデルを取り込んで、道路や鉄道の線を凸状に1mm程盛り上げて追加しました。
  • 線が数本あるだけでも結構印象が変わります。

加工前 加工後

プロジェクションマッピングで付帯情報を表示する

  • 白の立体地形図上に、上からプロジェクションマッピングで地形図を投射する。実際にそのような展示をしている施設が幾つかありました。マッピングする内容を差し替えるだけでいろいろな用途に使えて融通がききそうです。
  • 超小型のレーザープロジェクター(HD301D1)を使って、白い立体地形図模型に航空写真の画像を当ててみました。画像と模型の位置合わせが難しいですが、それなりに表示されて面白いです。小さい文字はよくわかりません。季節ごとに色を変えてみるのも面白そうです。
  • 地図模型と投影画像を差し替えて汎用的に使えるような専用のプロジェクタスタンドを作ってみたいと思います。

HDピコレーザープロジェクター:ピント合わせ不要で低消費電力 立てたスケッチブック上に投影します 福島盆地の航空写真です 信夫山付近の立体地形図模型を貼り付けます 色が不自然ですが、位置は合ってます

他の作成方法

  • 地形を3Dプリンターで作ろうとすると、一度に作れる大きさが限られ、かつ作成時間が長くかかってしまいます。大きさについては、分割して作って組み合わせて一つにすれば対応できますが、プリント時間に関してはあまり短縮できません。
  • 他に考えられるのは、等高線に沿って切った地図を積み重ねて立体にするやり方です。これならレーザー加工機が使え、一度に加工できる面積も大きくなります。使える材料の範囲も広がります。この方法では、組立の際に大量に切ったパーツの位置合わせをどうやるかがポイントです。 レーザーなら道路などの情報も彫刻として刻印できます。


※本ページ中の立体地形図模型及び地図図面は、国土地理院電子地形図をもとに作成しています。

activities/products/3d_map.txt · 最終更新: 2022/03/05 10:47 by Staff_Ujiie