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コンテンツマップ2024/03/15 10:40 
activities:products:motorizing_mechanical_model

市販ギヤボックスで機構模型の電動化

少し下から撮ってみました

概要

機構模型を動かすのに、動力源が手回しハンドルだけだとさびしいので、モーターを使って電動にも対応できるようにしたいと思います。
長時間動かしたり、一度にたくさんの模型を動かしたり、自動制御したいときに便利です。
工作用にタミヤからモーター付きのギヤボックスが市販されていますので、それを使ってこれまで作ってきた機構模型を動かせるようにします。

構想

  • これまで作った機構模型は歯車を使って動きを伝達するものが多かったので、市販ギヤボックスに歯車を接続して機構模型の歯車に噛み合わせるようにします。
  • この場合の回転数は遅いほうが使いやすいので、なるべく遅いギヤボックスを選択して、組み立てる際にギヤ比は一番遅いほうにします。
  • 穴あきボード上の好きな場所に他の部品と同じように取り付けられるようにします。そのためには本体の厚みが薄いことが必要です。いくつかのギヤボックスを購入し試してみましたが、薄さ(15mm)と小ささ(長さ55mm)で、「ミニモーター薄型ギヤボックス(2速)(楽しい工作シリーズNO.245)」を使うことにしました。ギヤ比は2速選べます。実際に電池(2.4V)をつないで回してみると、遅い方のギヤ比でもまだ早く感じます。接続する機構模型側で減速させて使うようにやりくりすることにします。
    ミニモーター薄型ギヤボックス(2速) 厚みは15mm 長さは55mm
  • ギヤボックスには、ネジ穴やネジ止めで固定するための追加パーツやクランク兼用のホイールが付いています。今回はホイールを1つだけ使います。
  • このギヤボックスを穴あきボードに取り付けるためのアダプターと、専用の歯車の2種類を自作します。ギヤボックスに取り付けた歯車の高さが合わない場合は、受ける側の部品にも追加が必要になるかもしれません。


ギヤボックスの組み立て

  • 今回使ったギヤボックスの部品 比べたタミヤギヤボックスたち購入した複数のギヤボックスを組み立てます。発売時期もいろいろで、時期によって中のパーツの材質や仕組みなどが違っていたりするのが興味深いです。
  • 一部でハトメが軸受け部品に使われていて驚きました。ベルトの穴とかの補強用の衣料用のパーツだとばかり思っていましたが、調べてみたら電気用とか小さいのもあります。真鍮などの金属製なので、丈夫で精度も高くできます。
  • 組み立ての際は添付のグリスをどのくらい塗ればよいか迷ってしまいますが、ギヤの回転時に接触する部分は、全面に塗らなくとも回していればグリスが行き渡るので、それ以外の場所で塗り残しがないようにつけてやります。
  • 電池をつないで回してみると、モーターが小さいにもかかわらず結構やかましいです。


設計

<取り付けアダプター(ケース)>

  • ギヤボックスを穴あきボードに取り付けるためのアダプターは、ギヤボックスが中に入るケースの形にします。
  • これまで作った穴あきボード取り付け用部品を活かして、好きな位置に自由につけ外しができるようにします。
  • 回転するシャフトが長く突き出てしまうので、ボードの穴を通してその一部をボード裏側に隠してやります(シャフトを短く切ってしまうのも手ですが、今後いろいろ使いまわしすると思うので今回はこのまま)。そのため、シャフトの中心をボードの穴の位置をに合わせてケースを設計します。
  • 2本突き出しているのはモーターのコードです 寸法や穴の位置は現物にぴったり合わせますまずギヤボックスそれ自体の3Dモデルを作ります。現物からの実測で寸法と形を単純化して外形を作ります(タミヤのHP上ではCADモデルの提供も行っているようですが、今回は利用していません)。
  • ホイール部品の裏側の形状が複雑なので端折ろうかと思っていましたが、Fusion360のシェル機能で簡単にそれらしい形ができてしまいました。オリジナルも同様の機能が使われているということでしょう。
  • ボードの穴に差し込む部分とケースの本体はスケッチ図面の向きが違うので、別部品にして組み合わせて使うようにしたかったのですが、いくら考えてもいい組み合わせ方を思いつけなかったので、あきらめて一体成形の部品にしました。3Dプリントの方向がいつもと違うので、差し込む細い部分の強度が心配になりますが、壊れたら作り直しするということにしてそのまま行きます。
  • 消音のためにはケースでまわりを密封してしまうのが効果的ですが、反面熱がこもるので、ケースのボード側を開放にし、さらにいくつか穴も開けておきます。この辺は様子見です。

ケース外側、ドローンみたいですね ケース内側、2つの突起をギヤボックスの穴にはめ込みます ギヤボックスがこんなふうに収まります

<専用歯車>

  • これまで、歯車の中心軸は穴あきボードの穴の位置ではなく、穴同士の中間の位置にしていたので、ギヤボックスに取りつける歯車は新しい歯数のものを新規に起こします。
  • ギヤボックス付属のホイールにはめ込んで使うように、真ん中にくぼみを作り、ズレ防止のピンも4本出しておきます。

12枚の歯車です 付属のホイールをはめ込みます ギヤボックスには内側から付けます


3Dプリント

  • 歯車は楽にホイールにはめ込みができました。ここはキツめでもよいので、はめ込み部分の直径を少し(面のオフセット)小さくして再出力です。
  • プリントしたケースにギヤボックスをはめてみるとやたらときつく、設計時に不要な部分を除き忘れていたところがあったのと、元のギヤボックスの形状からずれている部分があったのが原因で、設計から修正で再出力です。
    最初にギヤボックスの3Dモデルを作った際に、斜めの部分を適当に描いておいたのがこんなところに影響するとは思いませんでした。元の3Dモデルは直したものの、ケース作成の手順上スケッチ図面の修正ができなかったので、ケースの引っかかる部分を少し引っ込めてお茶を濁しておきました。

裏側を上にしてプリントします 最初の失敗作。深さが足りません 2回目。プリントでは四隅にサポートが要ります ケース外側。サポートを取って表面を軽く炙りました ケース内側。2つのポッチがどうしてもきれいになりません ギヤボックスをはめ込むとこんな感じ

試運転

  • 実際にギヤボックスをケースにセットして、穴あきボード上にセットしてみます。組み合わせる歯車も連結の40T&20Tにして、もう一つ40Tを回します。ギヤボックスに取り付けたのが12Tなので、減速比は1段目12T:40T=1:3.33、2段目20T:40T=1:2、全体で1:6.66になります。
  • ギヤボックスのシャフトが長くて邪魔になるかと思ったら、この製品の短めシャフトは片方のみに伸ばした状態で、2枚重ねにした歯車の外側と高さが丁度よく合ってくれました。
  • ニッケル水素電池2個(2.4V)をコードでつないでスイッチを入れると、トラブルもなく動いてくれました。動きもスムーズで、しばらく見ていても飽きません。
  • ただし、ケースで覆ってもギヤボックスのうるささは変わりません。

4足の動物みたいに見えます 高さは幸い丁度よく調整できました 歯車2段の減速機構です

  • 動く様子を動画にもしてみました。


感想

  • この部品を他の歯車等と一緒に設置してみると、予想以上に小さくて目立たず良い感じです。歯車をつけた形も、ちびライオンが壁にへばりついているようにも見えます。
  • タミヤのギヤボックスは品質が安定していて入手もしやすいため、模型の再現性をよくするには、市販部品を使う方がよさそうです。
    何種類もあるギヤボックスには共通の部品も多いので、一旦それ用のアダプターを作ってしまえば使いまわしもできて便利になります。


activities/products/motorizing_mechanical_model.txt · 最終更新: 2022/04/25 11:51 by Staff_Ujiie