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▽このページの目次▽

ポリカプラダンでの簡易内窓の制作 (2) パーツ制作作業

内窓の各パーツを作っていきます。

作業工具

  • 作業台
    • ある意味一番大事な工具は、作業場所/作業台だと思います。加工の精度や作業効率全体に影響してきます。

    • 1,820x910mmサイズのポリカボード1枚を乗せておいて、まわりで作業することができる広い台は必要で、施設内で使っているテーブル3台を並べて作業台として使いました。

    • 机のキズ防止と材料保護のため、段ボールを敷いて作業します。
  • 巻き尺
    • 寸法を測って材料に加工箇所の印をつけるのに使います。
  • 直尺・曲尺
    • ボードの切断時にカッターナイフのガイドとして使います。そのため、金属製の定規がよいです。さらに長さは1mほどはあったほうがよいです。1mあると、1820x910mmのボードの横方向を1回でカバーしてくれます。長さが足りない場合は、途中に補助線を引いて何回かに分けて切断することになるので、手間と精度の面からもなるべく長いほうがよいです。

    • 曲尺の方は、モールを横切る切断線を引く際の垂直を取るのに使いました。
  • カッターナイフ
    • 大きなボードの切断なので大型のよく切れるカッターナイフを使います。ポリカプラダンの切断は独特で、重なった薄いポリカ板を何枚も切る作業を繰り返してゆくことになります。大きな力は必要ありませんが、段差があって断続的にひっかかりを感じる材料を、ズレずに角度一定で何回も同じところを引くのにかかる力は要ります。
  • ノコギリ
    • 樹脂モール類の切断に使います。鋸刃が細かく刃の薄いレザーソーのようなものの方が、切った後をキレイに整形する手間が少なくて済みます。
  • 金切りはさみ
    • ポリカーボネート製のジョイナーの端の幅を狭めるために使いました。ノコギリで切ったりするのに比べて圧倒的に早く切断できますが、切ったところが曲がったり折れたりすることもあるので良し悪しです。
      材料を2つに切る時は、小さい側にしわ寄せが行きますので、常に残したい側が大きな塊になるように小刻みに分けて切ったりと工夫します。
      工具3種
  • マスキングテープ
    • 作業中仮止めが必要なところ、印をつけるのが必要なところで役に立ってくれます。巻き尺の端が外れないように止めておいたり、めくったボードの保護シートが巻き戻らないように止めておいたり、アングルに穴あけ箇所の印を付ける治具を作ったり、テーブルに貼り付けて穴の位置を書き込んで定規代わりに使ったりと何にでも使えて重宝します。
  • 竹用ドリルビット
    • 西面のボードには、固定するためにネジ止めする穴をたくさん開けます。取付け金具(スピードナット)と位置を合わせるので、できるだけズレの無い穴あけが必要です。

    • ズレない穴開けのためには、最初にポンチを打って凹みを作り、小径のドリルで穴あけし、順次径の大きなドリルに変えて穴を大きくするというのが本来の手順ですが、数カ所開けるくらいならともかく、今回は70箇所も開けるので、これでは手間がかかり過ぎでうんざりします。

    • 何かいい手はないかと探していたら、先が特殊な形状のドリル刃を見つけました。ドリルの真ん中から尖ったキリが突き出した形です。尖ったキリ部分で位置決めをして回すと、1回で小さい下穴を開けてからドリル刃が本来の大きさの穴あけをしてくれます。ドリル刃の形もサークルカッターのように円のフチだけを切るような形をしています。
      竹用のドリルとのことで、竹の丸い曲面でも滑らずに狙った箇所に穴を開けるための工夫でしょう。竹以外にも、木、アクリル、塩ビ、ゴム等にきれいな穴あけをするとのことで、今回の樹脂では問題ないでしょう。

    • 実際に使ってみたら非常に便利でした。最初穴あけ位置にキリ部分を合わせたら、後は普通にドリルを回すだけです。穴あけ後、丸く切り抜かれたシートがドリル刃の先に残りがちなので、次の穴あけの邪魔にならないように都度取り除きながら作業します。
  • 電動ドリル
    • ボードに垂直に穴あけをしたかったので、ガイドが使えるドレメルのTrioを使いたかったのですが、チャックが竹用ビットを咥えることができず、あきらめて、普通の電動ドリルを手持ちで、なるべく垂直になるように気をつけながら穴あけしました。
  • 掃除機
    • 切断時や穴開け時にはどうしても切りくずが出ますが、これが静電気のためにボードのあちこちに飛びつきます。加工の都度こまめに掃除機で切り屑を取り除きながら作業します。

    • プラダン構造の中に切りくずが入ってしまうと掃除機以外では取り除くのは困難になります。一方の端が空いた状態でもう片方から掃除機で吸えば一瞬できれいになるのですが、アルミテープで片方をふさいだ後からだと、掃除機でもなかなか取れません。


作業内容

ボードの切断と両端へのアルミテープ貼りは共通に行います。
以下は窓のタイプ別の加工内容です。

1.西面はめ殺し窓(✕5)
ボードの上下を固定するコの字ジョイナーと、側面でボードをネジで固定するL字部材を作成します。

  • ジョイナーの切断
  • L字部材の切断とネジ穴開け
  • ボードへのネジ穴開け
    • ボードは温度によって伸び縮みするので、ズレを吸収できるように、穴は少し大きめのφ5.5mmで開けました(ネジ径はφ4mmです)。
    • L字部材に開けた穴にぴったり合わないといけないので、穴の空いたL字部材をサッシ枠に固定してから、ボードを仮止めしてボードに開ける穴の位置をプロットしました。
  • ワッシャーは、ちょうどいい市販品がなかったので、アクリル板をレーザーカットで自作

2.西面片開き窓(✕2)
引戸用のレール作成とボードの両脇にポリカジョイナーで枠を付けます。

  • 引き戸レールの切断
  • ポリカジョイナーの切断、端加工、ボードへの取付け(はめ込み)

3.南北角はめ殺し窓(✕2)
窓の幅は異なりますが、1,と同じです。

  • ジョイナーの切断
  • L字部材の切断と穴開け
  • ボードへの穴開け
  • ワッシャーは上記自作品。

4.南面引き戸窓(✕4)
引戸用のレール作成と各ボードの両脇に細いジョイナーで枠を付けます。

  • 引き戸レールの切断
  • ジョイナーの切断、ボードへの取付け(両面テープ+はめ込み)

5、北面流し引き戸窓(✕2)
引戸用のレール作成と各ボードの両脇にジョイナーで枠を付けます。高さが他の窓の半分くらいなので加工が楽です。

  • 引き戸レールの切断
  • ジョイナーの切断、ボードへの取付け(両面テープ+はめ込み)


作業の実際

ポリカプラダンボードの切断

  • 大型カッターナイフと直尺を使って、必要な寸法にボードを切断します。
  • 切断した縦横が直角になるように、購入時のボードの端は直角になっていると仮定して、その端から寸法を測ってマークし、切断線を直尺で引きます。引き戸レールにはめ込むボードの下側は精度があったほうが良いので、購入時の端を使うようにします。上側は多少曲がっていても動作には影響ありません。加工中に上下、表裏がわからなくならないように、適宜表示を付けておきます。
  • ボードの端から長さを測って印をつけ、定規を当てて切断する線を保護フィルムの上からボールペンで引きます。
  • ボードを切る方向(縦横)によって切りやすさが大きく変わります。
    ボードの段の方向に沿って切る場合は、表裏の薄い2枚のシートを切るだけになるので力は必要ありません。切断箇所が斜めにならないようにカッターを定規に沿わせて滑らせて切ります。ただし、切断箇所が段の線と一致してしまうと、それを切断することはほぼ不可能ですので、切断線は多少ずらして引きます。
    一方、段を横切る方向に切る時は、断続的に抵抗があってなかなか切れてくれません。作業中にズレが出ないようにしっかりカッターを押さえながら、気長に回数を増やすことで切っていく感じです。いつかはかならず切れます。
  • 両面にあらかじめ貼ってある保護フィルムは、作業中の傷や汚れの防止用に、基本的に付けたまま加工します。材料の保護のこともありますが、剥がすと静電気が盛大に出るので、ゴミを吸い付けないためでもあります。
    加工する上で必要のあるところだけを剥がしてマスキングテープで仮止めしておいて作業し、終わったらまた元に戻します。
  • 長さが1.8mもある大きな板を、手で曲がらないように切断するためには、作業中の姿勢が重要です。カッターを握った手・腕から肩を結ぶ線が、切断する線の上に来ている状態で切るのが切断面が斜めになりにくいと思います。この状態で常に作業が行えるように、切っている箇所が移動するのに合わせてこまめにボードか自分を動かして調整します。
  • 切っていると、小さな切りくずが大なり小なり出てくると思いますが、静電気で切り口から段の中に入り込んでしまう手が届きません。この時は掃除機を切り口に当てて吸い取れば簡単に取れます。ただしこの場合、一つ一つの段が長い管になっているので、掃除機を当てるのと逆の側が開いていないと空気が入ってこないので切りくずが出てきません。端をアルミテープでふさぐのは切断が全部終わってからにします。


アルミテープの端処理

  • 切断したらアルミテープで断面をふさぐようにとメーカーの指示がされています。ごみが中に入るのを防ぐためですが、テープで空気を密閉することで断熱効果が得られるという目的もあります。
    ただしなぜアルミテープなのかがよくわかりません。別のテープでもいいような気もしますが、実際アルミテープで塞いでみると、貼った後に多少凸凹やシワができても、押しつぶすとつぶれて平らに変形してくれて助かります。樹脂テープだとこうはいきません。
    貼ったらよくしごいて貼ったアルミ面を平らに慣らしておきます。
    両側に同じ長さだけはみ出すように真ん中に貼り付けます。 シワが出ないように側面に折っていきます 貼った場所をよくこすって平らにならします
  • 板厚が4mmなので、両側に5mm程度が出るように15mm幅のアルミテープを使いました。貼ったアルミテープが端にはめたモールの間からはみ出して見えると銀色が目立つので、見た目にあまりいい感じはしません。はみ出す幅が大きくズレないよう、貼るときの位置合わせにちょっと気をつかいます。


コ型ジョイナーの取り付け方

  • 4mm厚のボードにコ4型のジョイナーは苦労することもなくはめ込むことができますが、その分逆に外れやすいとも言えます。引き戸の側面に使うと、窓の開閉時に枠だけが外れてきたりします。外れ防止には、取付時に両面テープを5mm幅ぐらいに切ったものを、ボードの端面に数カ所貼っておいてからジョイナーをはめると取れなくなります。


ポリカジョイナー(エ型)のボードへの取り付け方

  • サイズ的には適合している部品同士のはずですが、ボードにジョイナーをはめようとすると、ボードの縁の角がジョイナーの縁に干渉してなかなか入ってくれません。作業が大変な反面、いったん入ってくれるとそれだけでしっかりと固定されるので、固定用の両面テープとかは要りません。
  • 初めて作業した時は、力はいるわ、なかなか入ってくれないわ、そのうち手は痛くなってくるわで散々でしたが、治具を作ってそれを使ってはめこむようにしたら、スムーズにはめ込む作業ができるようになりました。
  • はめ込み用の治具:ポリカジョイナーの縁は、たわませてボードにはめ込むように間が少し狭くなっており、さらにボードとジョイナーの縁はお互いに尖っているので、力でジョイナーの隙間を広げながらはめ込む必要があります。これを単純に手で行うのは大変で、尖った角で怪我もしやすい上に、ボードの縁が壊れたりしかねません。
    そこで、ボードと部材の間に別の薄板を挟んで、その状態でジョイナーを押し込んでゆきます。薄板の上を滑らせて、お互いの縁がぶつかるのを避けつつボードに途中まではめ込まれた状態にします。そこまでできたら薄板は引き抜いて、後は一番奥まで押し込んでゆきます。この作業を縦の1.8m分繰り返してジョイナーを全部はめ込みます。
  • 実際の治具は、工具類を買ったときに入っていたパッケージ(透明樹脂+ボール紙)に使われている透明のPET板の部分を菜切り包丁型に切り抜いて作成しました。強度があってよくしなる透明樹脂が向いています。しっかりつかんで力を入れやすいように幅を広めに、かつ長い距離を連続して使うので、ある程度の長さがあったほうが使いやすいです。ボードとジョイナーの縁の間に割り込ませやすくするために端を斜めにします。
    テーブルタップが入っていたパッケージです。 持ち手部分にマスキングテープを貼ってます
  • ボードとジョイナーを並べて、治具を斜めの端から間に挟んだ状態でジョイナーを押し込んでゆきます。
    ジョイナーの幅は表裏で違うので、長い方を下にして先にボードにかぶせておいて、短い方に治具を挟み込んでその状態でボードをくわえさせます。やりにくい時は、ボードの表裏両面に治具を2枚挟んで押し込んでもいいと思います。はめ込んだ後で位置をずらすのは結構大変なので、最初の位置決めは慎重にします。
    ジョイナーのまだはめ込まれていない部分を外側にしならせた状態で、間にはさまった治具を、既に噛み合った場所からこれから噛み合わせる場所まで引っ張ってずらしてやります。
    この作業には力が必要で、その一方で、治具が外れてしまわないように力加減に十分注意が必要です。外れなければ最小限の労力で済みますが、もし外れてしまったら、治具の斜めの部分をボードとジョイナーの間に滑り込ませる作業から行います。
    治具を挟んだまま端からジョイナーをボードにはめ込んで、その治具を移動させて噛み合った場所を先に伸ばしてゆく作業を何回も繰り返してジョイナー全部がボードに噛み合った状態にします。一番端まで行った治具は外します。
    そこまでできたら、側面から木切れ等で叩いてジョイナーを一番奥まで押し込めば出来上がりです。
    使った後の治具は表面が擦り傷だらけになります。治具が途中で外れずに連続してずらして先に進めるような作業のコツが分かってくれば、楽にできるようになります。
    ボードとジョイナーを並べて作業するため、台上に斜めに置きます 治具を挟んだ状態でジョイナーをボードに押し込みます ジョイナーの中央までボードの端がくるようにします
  • 作業中、保護フィルムがはさまってしまうことがありますが、ゆっくり引っ張れば抜けるので心配いりません。


L字アングルおよびボードへの穴あけ

  • ネジ止めするための金具を取り付けるL字アングルは固定が難しかったので、机の端をガイドにして、並べた机の隙間の位置で穴あけしました。
    L字アングルの端材で、台の端に乗せたアングルを自由にスライドできるガイドを作って付けました
  • ボードは穴あけ位置がプラダンの段のどこにくるかで難易度が大きく変わります。段のあいだの真ん中なら表裏の2枚の薄板以外は空気なので問題ありませんが、穴の位置がちょうど段に重なっていると、せっかくの竹用ドリルでもズレてしまいうまく穴あけができません。
    1、2回失敗して、やり方を変えないと無理だと思いました。まわりがスカスカで、ここだけが硬い段の部分に縦に穴あけすること自体が無理と思われますので、別のやり方が必要です。手持ち工具に先の細いニッパーがあったので、これで穴部分を切ってしまうことにしました。幸い、最終的な穴径が5.5mmで、このニッパーの先を使えば縦横4mm程度に喰い切りすることができそうです。何回かやってみて、ニッパーで切り抜いた穴を小さめにして、その後竹用ドリルを通すと穴を丸くすることもできました。多少形が汚くはなりますが、後で隠れる部分なので問題ありません。
    取り付け用の穴は多少のズレとボードの収縮を吸収できるようにやや大きめに設定しているので、なるべく穴位置で調整して、どうしても段にかかるところをこの方法で開けました。思いの外少ない箇所ですみました。


ワッシャーの制作

  • ボードを枠に止めるためのワッシャーは、樹脂製の柔らかいボードを押さえるので面積が大きな方がよいのですが、金属用の市販ワッシャーでは小さいものしか見当たりません。そこで透明アクリル板をレーザーカットして自作しました。使用するネジの頭とのバランスもあり、七角の星型にしてみました。使う個数は多いのですが、大きすぎず、透明なのでそれほど目立ちません。


窓枠への樹脂モールやレール等の取り付け

  • サッシ枠への樹脂枠部材の取付けは、後で剥がすことができるように両面テープを使います。
    あらかじめ部材側にテープを貼って、サッシの取り付け場所に位置合わせをしてから、剥離紙を剥がして接着します。
    場所がズレてくっついてしまった場合でも、接着直後であれば力を入れてゆっくり剥がせば外すことができます。粘着面が部分的にちぎれてしまい、きれいにならない時はその部分を剥がして新しい両面テープを貼り直します。厚みが変わるので粘着テープ同士で重なったところができないようにします。

  • 取り付け位置を寸法通りに効率的に揃えるために、L字アングルの残りで取付用の治具を作りました。この治具をあらかじめ取り付ける場所に貼り付けておいて、部材を貼りつける際はその治具に沿わせて位置決めをしてやります。いちいち寸法を測らなくてよいので効率的に作業ができます。
    治具です 事前にサッシに貼っておいて アングルの位置を合わせて取り付けます



次は設置~完成編です。

activities/products/inner_windows_2.txt · 最終更新: 2023/07/17 10:45 by Staff_Ujiie