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HHKBミニマムハードケースの作り方


いつもパソコンの作業では、ハッピーハッキングキーボード(Happy Hacking Keyboard :以下HHKB)というキーボードを使っています。コンパクトで打ち心地がよいことで気に入っています。
使っているのは旧機種(Professional BT PD-KB600B 墨)なのですが、久しぶりに製造元のPFUのサイトを見ていたら、現行の機種でもサイズが同じだということに気がつきました。以前に持ち運び用に作ったハードケースが現行品でもそのまま使えそうなので、その作り方を紹介します。

市販のキーボードケースは大抵ソフトケースで、かつサイズに余裕があってかさばるものばかりですが、こちらは他の物と一緒にかばんに突っ込んでおいてもキーが押されることのないハードケースで、かつキーボードの幅+1cmのミニマムサイズです。材料費も大してかかりません。
作るのに一部根気のいる加工はありますが、作業自体は単純です。HHKB(※)を持っている方におすすめします。
※ 販売終了品のHHKB Lite2/Professional HGは奥行き寸法が異なるので使えません。またHHKB以外のキーボードには対応していません。

ケースの概要

これは、要はキーボードのキー部分にかぶせる形の合成樹脂製のハードカバーです。HHKBにピッタリのサイズで、装着状態ではキー部分に空間を確保して、他のモノがキーに接触するのを防ぎます。
キーを保護することに特化しているので、上面にはめ込むだけで、裏面はキーボードの外装のままで持ち運ぶことになります。そのため下面のサイズが異なるBluetoothモデルかUSBモデルかを問わず使えます。
上面 下面は本体むきだしです 前は5mmぐらい重なります 後ろは10mmぐらい重なります 側面を緩衝材で支えます 裏側から

このケース作成の肝は、HHKBの寸法にピッタリの市販パーツを見つけたことにあります。このパーツに若干の加工を施して専用ケースに仕立て上げます。
使用するのは、市販工具ケースの中トレー部分です。このトレーの内寸(実測300(W)× 110(D)mm)が、縦横ともHHKBの上面の寸法に非常に近いのです。一般にHHKBのサイズは、キーの並んだ上面が294(W)×110(D)mm で、Bluetoothモデルはその後ろに出っ張り分が10mm追加されます(※上記の一部例外機種はあり)。

材料

ホームセンターとかで普通に売っているものですが、工具ケースは指定品以外は使えません。

  1. 透明プラ工具ケース(1,000円位)
    • 必要なパーツは、透明樹脂製の工具ケース(Meiho(明邦化学工業)デイトス101)の内トレイ部分です。この製品限定です。内トレイしか使いませんので、外ケースはそのまま物入れとして利用しましょう。また、デイトス102という深型ケースもありますが、こちらはサイズが違うのでダメです。

    • トレイの素材は耐衝撃性コーポリマーということでよくわかりませんが、柔軟性があってかつ強度を保つための補強も各所にされており、ケース用途には最適です。
      購入したケース 商品名のシール この青いトレイを使います

  2. ウレタンフォームのシート(粘着面つき)(数百円)
    • 密度が高くてやや硬めのウレタンフォームのシート(厚さ5mm)を短冊状に切って、ケースとキーボード間を支える緩衝材としてケースの内側に貼って使います。粘着面付きのものが便利ですが、なければ両面テープでつけてもよいと思います。

    • シートの大きさは、必要なパーツが全部切り出せるくらい(前に買ったときの製品名と大きさを忘れてしまいました。下図面を参照ください。)。

    • ウレタンフォームの硬さは現物を見て確認したほうがよいと思います。押せば凹むぐらいの弾力性は必要ですが、ふわふわだと支えになりません。キーボードに装着したときにケースが外れないように支えているのはこのパーツです。


作り方

作業のアウトライン

  • このトレイをキーボードケースにするためにやることは2つだけです。
    買った状態のトレイには、パーツ間仕切りがありますが、これがあると本体にかぶせることができませんので、キーの邪魔にならないように縦横とも間仕切りを切り取ってしまいます。外枠を残して内側の仕切りを切り取るのは結構面倒ですので、刃物の動かし方を考えながら、怪我をしないように急がずに作業します。
    もう一つは緩衝材のウレタンフォームをトレイの内側に貼り込む作業です。こちらは各パーツを寸法通りに精度良く切り出すのがポイントです。
    前面側から 背面側から:緩衝材の貼り方が前後で異なります


トレイの間仕切りの切除

  • ケースをはめたときにキー部分に当たらないところまで、パーツ間仕切り板を切り取ります。その際、強度を保つために底面からの高さを5mm程残しておきます。また、手前側の側面の仕切りはキーボードが沈み込むのを防ぐストッパーの役割もさせるため5mm残します。左右両側面の仕切りは緩衝材の邪魔にならないように、低く(4mm)しておきます。
    少しだけ残して全体に切除します。 手前側の側面の間仕切りは5mm残します。立ち上がり部分のアールは無くて良いです。 左右の側面の間仕切りは緩衝材より低くします(4mm)。
  • 間仕切り板の切断は、トレイの外枠が邪魔になって作業しにくいです。主に斜めから切断することになります。カッターナイフ、プラスチックカッター、プラ用ノコギリ、彫刻刀など使える道具を総動員して、部分部分で切り方を考えながら少しずつ気長に作業しましょう。あればミニルーター、ヒートナイフ、超音波カッター等を使うと効率的に切断できると思います。
    粗加工で余裕を持たせて切除した後、仕上げで切断面をならしてきれいにしていきます。
  • この切断部分は通常見えない部分になるので、多少切り口が汚くても問題ありません。キーと接触しないよう寸法だけは確保しましょう。
  • 素材的に割れにくいので、粗加工時はカッターやノコギリで少しずつ上から切込みを入れて折り取ってゆくのが早いと思います。
  • ヤスリも届きにくいので、切断箇所の仕上げは刃物でするのがきれいに見えます。カッターなどで切断箇所を両側面から斜めに面取りして最後に水平に削ります。
  • 加工しにくいだけに、作業中に傷がつかないようにトレイ外枠をマスキングテープなどで保護しましょう。
  • とにかく、変則的な角度で刃物を使うことが多くなるので、怪我をしないことが第一です。ちまちました加工に飽きて急ぎ出すあたりで怪我をしやすいです。飽きてきたら意識的に休みを入れましょう。


ウレタンフォームの貼り付け

  • 緩衝材をキーボードとケースの固定、ケースの位置決めのために、間仕切りを切除したトレイの内部側面に貼り付けます。各部の寸法は下図を参照してください。
  • 使うウレタンフォームシートの寸法に応じて短冊の長辺方向の寸法は多少変えてもらっても構いませんが、高さを決める短辺側の寸法は正確に切り出すのを心がけてください(装着時のキーボードとケースの位置に影響します)。
  • ウレタンフォームの部品図(単位:mm。フォームの厚みは5mm)
    底面に沿って隙間なく貼りつけます 側面は2分割でも良いです


テスト・調整

  • 緩衝材を貼り終えたら、キーボードにはめてみましょう。寸法通りなら、キーがケース側に干渉することは無いはずですが、実際に不具合がなさそうかチェックします。不具合があれば、緩衝材の位置か間仕切りの削り代で調整してください。
  • 左右側面の緩衝材がキーボードとケースを保持していますので、きつい/ゆるい際にはこの辺からチェックしてください。きつくて装着が困る場合は、側面の3枚の緩衝材のうち真ん中について、幅を短くする、剥がす、より薄いもの(4mm厚)に変えるなどで様子を見ます。私も現在は真ん中だけ4mm厚にしています。使う材料の硬さによってこのあたりの具合は変わってきます。
  • キーボードへの付け外しに問題なくなれば出来上がりです。後はケースに装飾を付けるとかお好きなように(この材質は塗装はできないと思いますので、カッティングシートを貼るか、彫刻するかぐらいでしょうか)。


activities/products/hhkb_case.txt · 最終更新: 2022/01/29 12:04 by Staff_Ujiie