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activities:products:filament_holder

フィラメントリール・ホルダーの作成

完成!

概要

3Dプリンターの屋外デモ用に購入したKingroon KP3Sにもフィラメントリールのホルダーは付属しています。2本の枕木のような形で、それぞれリールの下に敷いて使います。リールと接触するところにアルミのローラーが2つ付いていて、上に乗せたリールが自由にくるくる回転できるという仕組みです。
ローラー2個付き こんなふうに使います
幅や外経が違うリールでも対応でき、収納も場所をとらないので優れものなのかもしれませんが、知らずに触れるとすぐにズレたり、リールがごろごろと引きずりながら回るような感じにあまりいい印象がありませんでした。 そこで、別のホルダーを自分で作ってデモに使うことにしました。

構想

検討中のスケッチいつも使っている3Dプリンターのホルダーと同様に、リールの中心の穴に軸を通して軸の周りを回るような構造にします。
リールによって幅や外経、穴の大きさなどが結構ちがいますが、軸の太さを他のホルダーに合わせて作れば、色々なリール用にこれまでに作ってきたアダプターを流用できるはずです(手持ちの機種の軸はどれも直径30mm)。デモには小型のリールを持っていきますが、通常のリールも普通に使えるように寸法を決めます。
軸まわりの部品は3Dプリンターで、ホルダー本体部品は大きいのでアクリル板をレーザー加工機で切って作ります。透明のアクリル板を使えば暑い時期でも涼しげに見えるでしょう。

設計

- 3Dプリント分(回転軸、リール押え、ストッパー等)

  1. Fusion360で回転軸回りの部品をデザインします。

軸にかぶせるパイプとリール押さえ 回転軸 脱着式のストッパー

  1. 軸自体も表面が凸凹になる3Dプリンターで作るので、少しでも回りやすくなるように、軸の回りにパイプをかませた2重構造の回転軸にします。
  2. これまでに使ったリールの最大幅ぐらい間を開けて、両側をリールの穴より大きな円盤で押さえます。その外側にアクリルの外板が通るようにします。
  3. 回っているうちに軸がずれてしまわないように、脱着式のストッパーを軸の端にはめ込むようにします。回転軸に穴を開けておいて、そこにストッパー側に付けた突起をはめ込んで固定します。部品を多少たわませてキツめに取り付けてしっかり固定します(この部品が一番苦労しました。何回か作り直して、それでも大幅に手修正しないとうまくはめられませんでした)。

- レーザー加工分(正面と側面の枠)

なぜか画像の文字から「u」が消えてしまいましたが

  1. 側面の板はリールの重さを支える軸受けになるので、安定するよう三角に近い形にしました。
  2. 正面と裏面に渡す板は、側面の板を支えて、ホルダー自体を自立させておく役割があります。最小限の部品数でしっかり立たせておくために、角度が斜めになるように切り込みを入れました。これを垂直に立ててしまうと、横からの力で全体が歪みやすくなり、もう1部品欲しくなります。
  3. せっかく透明アクリルなので、空いたところに文字の彫刻と切り抜きを追加します。


制作

- 3Dプリント分(中心軸、リール押え、ストッパー等)
部品出力中 回転軸まわり 軸と一体の左ストッパー 脱着式の右ストッパー

  1. 軸や押さえ部品等、思っていたよりもきれいに出力出来ました。とはいえ、少しでも回りやすくするために部品同士をすり合わせて表面をなめらかにしておきます。
  2. 脱着式のストッパーは、最初全く軸に入らず、四苦八苦しました。軸に開けた穴にはめ込む部分をどんどん短くしていきましたが、それでも入りません。ぎりぎりまで突起を短く切りつめました。
  3. また、ストッパーの部品自体も固くてたわむどころではありません。歪ませることができるような切込みを追加して設計しなおし、なんとかパチンとはまるように収めました。

- レーザー加工分(正面と側面の外枠)
切り出した部品 ハニカム板の跡 「ふ」と穴あけ 「futatsuboshi」と彫刻

  1. 彫刻と切断を組合せた加工を5mm厚のアクリル版に行いました。加工機の理由不明の途中停止で1枚ムダになってしまいましたが、その後はエラー無く加工が出来ました。
  2. レーザー加工時に、アクリルの燃焼ガスによるくすみが保護紙をつけていても付くのがこれまでずっと悩みだったので、今回は、加工面を保護紙付き、裏面を保護紙無しでやってみました。結果やっかいなくすみが見られず、大進歩です。ただし今度は、保護紙に覆われていないアクリル表面に加工テーブルのハニカム板の跡が若干ついてしまうようになってしまいました(※この解決は後日に)。
  3. 正面/側面部品を組合せてみたら、レーザーの切り代を多く見すぎたのか、切込みと部品がゆるゆるです。が、このまま行きます。


組立

回転軸周りと外板を組合せて、全体を組み立てます。
全部品 組み立てるとがっしりしています
レーザーで切った外板どうしは、持ち上げるとバラバラになるくらいゆるゆるなのですが、机の上で組み立てた状態では斜めに力がかかるのでガタつきは全くなくなります。回転軸の部品も問題ありません。

使用レビュー

  • 肝心のリールの回転については問題なくクルクル回ります。ただし回りやすすぎて、フィラメントが数巻き分ゆるんでしまう状態にもなりがちです(フィラメントを通すパイプを使っていないと特に)。数巻き分ゆるむとフィラメント同士が絡んで出てこなくなるトラブルの原因になるので、適度な抵抗が途中にあるのが一番良いようです。
  • 透明アクリルのボディのため、見た目が軽くすっきりした印象で、見せるデモには向いています。
  • 後片付けも、バラバラにして袋に入れてしまえば場所を取らず、本体と一緒にケースに収まります。


改善ポイント

  • アクリルの切込み溝の寸法をもう少し狭くする(板の厚みは調整出来ないので)。
  • ストッパーの部品は、手加工無しでも使えるように設計をリファインする(はめ込み部分の寸法と形状)。
  • リールの回転を適度に抑制する機構を追加する。
activities/products/filament_holder.txt · 最終更新: 2021/09/03 15:38 by Staff_Ujiie