レーザー加工機
収束させたレーザー光で材料を高温で蒸発させ、溝を掘ったり切断したりします。
いろいろなものが簡単に切断できますが、一部加工禁止の材料があります。
加工機
レーザーの種類や出力によって、加工できるものやその程度が変わってきます。当施設で持っているのはCO2レーザー機になります。
Podea Zero Corsa (ポデア) :CO2レーザー(金属発振菅)、出力40W、加工エリア300×600mmx高さ140mm
加工機制御ソフト
加工したいデータを読み込んで、レーザー加工機を動かして加工します。
バージョンアップを繰り返して、現在新旧3種類になりました。どれでも使えますが、機能追加や不具合対応等された新しいものの方がおすすめです。
講習会では最新板を前提に操作方法を説明します。
1.Podea ソフトウェア
2.Podea WebUI
サーバー/クライアント方式で、各PC内のWebブラウザ上の画面で操作します。
3.Podea App
対象OSをWindowsに絞った最新の制御ソフトです。メーカーでは、今後はこちらの制御ソフトに1本化してゆくとのことです。
当施設では、当面は上記の2種類の制御ソフトも使えるようにしておきますが、今後新しい機能の追加はPodea Appのみにされてゆくことになります。
材料
非常に強い光をレンズで集めて、その熱でピンポイントで材料を焼いて加工(固体⇒気体)するだけなので、本来はあまり材料を選ばないはずですが、いろいろな理由から加工できない素材もあります。
アクリルは、切断・彫刻ともにレーザー加工に向いていて、きれいに加工できます。
アクリル板は製法の違いで2種類(押出し、キャスト)あり、性質も違いますので、加工機の設定も変えた方がよいこともあります。ホームセンターの店頭等で売っているのは、通常は押出しなので、加工条件もそちらで確認しています。キャストを使う場合は事前にテスト加工をして加工条件を確認してください。
アクリル以外の
他の合成樹脂の場合、加工すると切断箇所が凸凹に荒れて汚くなってしまうことが多いです(PET、PC(ポリカーボネート)等)。
これらの素材は切断も彫刻もできますが、種類によって加工の状態が結構異なるので、必ず事前にテスト加工を行って設定値を確認します。
写真は3Dプリンタのビルドシートとして販売されている樹脂シートです。切断部分の縁が盛り上がってしまっています。
また、EVAシートを切ってみたら、厚みのあるものでも結構キレイに切断できました(
EVAシートのレーザー切断)。
木質材料としては、木の粉を固めたMDFが均質なために切断しやすく一般的です。天然の板材を切断する場合は、節や木目の状態を見ながらケースバイケースで加工条件を設定する必要があります。ベニヤ板は、薄く削いだ木材を貼り合わせて作られているため、MDFよりも切断しにくいです。切れない箇所が部分的に残っていたりします。
彫刻についてはどちらも可能です。
どちらの場合でも、加工中に煙とスス、ヤニがたくさん出るので、排気がきちんとされているかチェックしながら作業します。
※レンズの焦点は1点になりますので、材料の深い場所には焦点が合わなくなり光が弱まります。また、光が遮られても加工できません。そのため、材料が厚い場合はどのくらいまで切断ができるか、テスト加工が必要です(これまでアクリルは5mm、MDFは9mmまでは切断したことがありますが、それ以上は要確認です。アクリルはもっといけると思いますが、厚いMDFは切断面が炭化して斜めになってくるので、このあたりが実用上限界だと思います)。
工具・用具
マスキングテープ
光によって加工するため、材料に力がかかりませんので、材料をきちんとと固定する必要はありませんが、給排気によって加工機内部で発生する空気の流れや動く部分からの振動を考慮して、紙など軽い材料を加工する時は、マスキングテープで何箇所か加工テーブル枠に留めておくと安心です。
アクリル板の保護紙がなかなか剥がれないときは、マスキングテープを上から貼っていきなりバリッと引っ張ると楽に剥がれてくれます。急加速で衝撃を与えるのがコツです。
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塩ビ判定器具:材料が塩化ビニルかどうかを判定するのに使用する器具です。調べたい樹脂を焼いた針に少量付けて、それをガスバーナーで炙って炎色反応を観察します(塩ビだと炎が緑になる)。
オイルスプレー/グリススプレー:本体のメンテで動く部分の給脂に使います。この本体の構造上、手が届かないところが多いので、できる範囲で動く部分に油(鉱物油ベース)を塗っておきます。
スライドするY軸に多めに塗っておいたらトラブルの原因になったので、一旦塗ったあとで軽く拭き取っておくようにします。
アクリル用研磨剤:アクリルの表面をきれいに磨くための研磨剤です。レーザー加工で発生するくすみの除去に使って効果がありました。
アクリル用接着剤:切断したアクリルパーツ同士の接着に使います。粘度が低いので、接着するパーツ同士をあらかじめ接触させておき、その隙間に染み込ませて接着します。
アクリルを溶剤に溶かしたようなものなので、乾くと強固に一体化します。火気厳禁です。
レーザー加工のコツ