EVAシートのレーザー切断
EVAフォームシートという素材は、ビーチサンダルだったり、床にしいて使うスポンジマットだったりと身近にあるものの、工作素材として加工したことはありませんでした(EVA:エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂)。軽くて丈夫、水に強く、加工もしやすいということで、コスプレ関係でもよく使われるようです。
この度、CO2レーザー加工機で切断する機会があったので、その加工条件の設定値についてまとめてみます。(ここでの加工設定値は、機種が異なればもちろん、同じ機種でも個々の機械のレーザー発振器の状態によっても変わってきますので、一例としてご理解ください)
加工素材
シート状のEVA素材の、薄いものと厚みのあるものの2種類を切断加工します。どちらも100均で手軽に買えるものです(ダイソーの商品です)。
薄いもの:1.5mm厚、2.5mm厚。EVAスポンジシート 工作用のボードとして売っていて、色も数種類あります。
厚いもの:10mm厚、ジョイントマット 敷いて使うものなので。片面に滑り止め用の凸凹模様がついています。何枚も繋げて使うために、フチが互いに噛み合うようなギザギザになっています。
加工条件の設定の考え方
加工結果
上記の考え方で、実際に材料を星型の図形で切断してみます。設定値を変更しながら同じ図形を切断して、その違いをチェックし、一番良さそうな設定を採用します。
星型は、鋭角の角を持っているために、レーザーヘッドが一旦停止して向きを変えることになりますので、そのあたりでの加工のされ方も気をつけます。
1)1.5mm厚シート
(次の2.5mm厚も含めて、残念ながら加工部分の写真を取り忘れました)
2)2.5mm厚シート
3)10mm厚マット
レーザー加工で厚みのある材料の切断は結構大変です。加工中に出来る溝の側面が、レーザー光が奥まで届くのを邪魔したりします。これまでにも厚みの異なるMDFの切断を試してみて、9mm厚まで切ってみましたが、切断面の炭化がひどく、垂直には切れませんでした(レーザー加工機/材料)。切断はできたとしても、きれいに切断という観点からはとても許容できる範囲ではありません。
MDFに比べればはるかに切りやすいEVAフォームでこの厚みがうまく切れれば、この材料の活用の幅が広がります。
繰り返し1回
まず試しに設定した条件(P:5% S:20mm/s R:1)で切断してみました。裏まで切れていません。
切れるところまで出力を上げながら試すと、(P:30% S:15mm/s R:1)で全部貫通しました。切断箇所の隙間が大きく空いてしまっているので、これ以上、出力や速度での切断能力アップはしないほうがよいと考えました。繰り返し加工するのを前提にして、今度は切断能力を下げる方向で試します。
繰り返し10回
繰り返し5回
繰り返し10回でキレイに切断できましたが、これだと時間が10倍かかってしまうので、もう少し現実的に、その回数を減らして5回にして、キレイに切断できるような出力と速度を探します。
まとめ
EVAフォームにはたいてい反りが見られます。さらにレーザー加工の熱で反ってくる分もあるかもしれません。厚みのある材料が加工中に反ってきてこまるときもありました。
そこで、反り防止用に、材料のレーザー加工部分の外側に金尺を枠代わりにマスキングテープで貼り付けて、その状態で加工しました。薄い材料だとこれでかなり安定します。厚い場合は、反りの力も大きいので、しっかり貼り付けておかないとテープが剥がれてきたりします。
それでも枠があると加工時に格段に安定します。
これまで、アクリル以外の樹脂材料では、あまりキレイに切断できたという印象がなかったので、キレイに切れた今回のEVAフォームは、レーザー加工に向いているように感じました。
参考