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activities:products:small_shelf [2022/05/27 16:12] Staff_Ujiie [作業机の中段小物棚制作] |
activities:products:small_shelf [2022/05/28 10:10] (現在) Staff_Ujiie [設計] |
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- | + | ===== 作業机の中段小物棚の作成 ===== | |
- | ===== 作業机の中段小物棚制作 ===== | + | {{: |
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基板への電子部品の取り付け、はんだ付け、テスト等の電子工作関連の作業を市販のスチールパイプのラックで組んだ作業机で行っています。スライド式の天板を引き出せば作業時に広くなりますが、もともと面積はあまりないので、ちょっと店を広げ始めるとすぐに一杯になってしまいます。正面のラック部分の棚の間隔は結構空いているので、そこに中二階になる棚を作って部品や工具の一時保管用に使えば、広く使えると思い、小物棚を作成しました。 | 基板への電子部品の取り付け、はんだ付け、テスト等の電子工作関連の作業を市販のスチールパイプのラックで組んだ作業机で行っています。スライド式の天板を引き出せば作業時に広くなりますが、もともと面積はあまりないので、ちょっと店を広げ始めるとすぐに一杯になってしまいます。正面のラック部分の棚の間隔は結構空いているので、そこに中二階になる棚を作って部品や工具の一時保管用に使えば、広く使えると思い、小物棚を作成しました。 | ||
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* 縦横の板を接合するには、以前に[[activities: | * 縦横の板を接合するには、以前に[[activities: | ||
- | * 接着等はせずに、はめ込みだけで作るようにします。そうしておけば、後でばらせます。 | + | * 接着等はせずに、はめ込みだけで作るようにします。そうしておけば、後でばらしたり部品の交換も簡単です。 |
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==== 設計 ==== | ==== 設計 ==== | ||
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* 制作全体の手順は、 | * 制作全体の手順は、 | ||
- Fusion360で3Dモデルを作成。 | - Fusion360で3Dモデルを作成。 | ||
- | - 立体のボディから平面画像のSVGファイルを作成するアドイン「Shaper Utilities」を用いてパーツ毎に図面の画像を出力。 | + | - 立体のボディから平面画像のSVGファイルを作成するアドイン「[[https:// |
- 出力画像をInkscapeでレーザーカット用に編集し加工用ファイルを作成。 | - 出力画像をInkscapeでレーザーカット用に編集し加工用ファイルを作成。 | ||
- アクリル板をレーザー加工機で切断し各パーツを作成。 | - アクリル板をレーザー加工機で切断し各パーツを作成。 | ||
- 組み立てて完成。\\ \\ | - 組み立てて完成。\\ \\ | ||
- | * 最初に棚の三面図のスケッチを作りますが、これは切り出すパーツの図面ではなく、あくまで3Dモデルを作るためのスケッチです。\\ スケッチからの押し出しで立体モデルにします。立体モデルのボディは、後のちパーツの図面を作る単位になるので、1図面=1ボディになるように小分けにして作ります。\\ \\ {{: | + | * 最初に棚の三面図のスケッチを作りますが、これは切り出すパーツの図面ではなく、あくまで3Dモデルを作るためのスケッチです。側板は一つのスケッチから異なる3種類のボディを作ることになります。\\ スケッチからの押し出しで立体モデルにします。立体モデルのボディは、後のちパーツの図面を作る単位になるので、1図面=1ボディになるように小分けにして作ります。\\ \\ {{: |
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- | * {{ : | + | * {{ : |
- | * 組立時のはめ込み部分は、2つのパーツ間で位置と大きさが一致していないと、いざ組んだときに行き詰まるので、細心の注意で対応する2方向のスケッチを作成します。3Dモデルの状態でもズレや重複などが出ていないかをよくチェックします。\\ さらに、ゆるみなく組み上がるよう、すり合う部分の面に寸法の補正(オフセット)をかけます。\\ 今回はオフセットの方向を間違えて逆に隙間を増やしてしまい、組立時にゆるくなってしまいました。3Dプリントのときと違って、レーザー加工は切断線の両脇に必ず切り代が発生して図面より寸法が短くなるので、その分を適宜プラス調整してやる必要があります。パーツ同士を組み合わせるのでなければほとんど問題ありませんが。\\ \\ {{: | + | * 組立時のはめ込み部分は、2つのパーツ間で位置と大きさが一致していないと、いざ組んだときに行き詰まるので、細心の注意で対応する2方向のスケッチを作成します。3Dモデルの状態でもズレや重複などが出ていないかをよくチェックします。\\ さらに、ゆるみなく組み上がるよう、すり合う部分の面に寸法の補正(オフセット)をかけます。\\ 今回はオフセットの方向を間違えて逆に隙間を増やしてしまい、組立時にゆるくなってしまいました。3Dプリントのときと違って、レーザー加工は切断線の両脇に必ず切り代が発生して図面より寸法が短くなるので、その分を適宜プラス調整してやる必要があります。パーツ同士を組み合わせるのでなければほとんど問題ありませんが。\\ \\ {{: |
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* オフセット調整量は、私は5mm厚アクリル板切断では各面0.1mmにしています。レーザー出力やレンズの特性によっても切り代の量は変わってくると思いますので、加工機や加工条件毎が異なれば同じ数値が使えるとは限りません。 | * オフセット調整量は、私は5mm厚アクリル板切断では各面0.1mmにしています。レーザー出力やレンズの特性によっても切り代の量は変わってくると思いますので、加工機や加工条件毎が異なれば同じ数値が使えるとは限りません。 | ||
- | * {{ : | + | * {{ : |
- | * 一旦各加工用のファイルが完成した後で、手持ちの材料の長さが図面の寸法に微妙に足りないことがわかりました。最初のスケッチまで戻って5mmだけ寸法を詰めましたが、スケッチの拘束機能のために思うように長さが変更できず苦労しました。\\ (5mm詰めても、実際は部品寸法ギリギリで、レーザー切断の位置合わせにもかなり神経を使いました。事前の材料寸法の確認が適当だとこんな事態が起きます)\\ | + | * 一旦各加工用のファイルが完成した後で、手持ちの材料の長さが図面の寸法に微妙に足りないことがわかりました。最初のスケッチまで戻って5mmだけ寸法を詰めましたが、スケッチの拘束機能のために思うように長さが変更できず苦労しました。\\ (5mm詰めても、実際は部品寸法ギリギリで、レーザー切断の位置合わせにもかなり神経を使いました。事前の材料寸法の確認が適当だとこんな事態が起きます)\\ |
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==== レーザーカット ==== | ==== レーザーカット ==== | ||
- | * Shaper Utilitiesで出力したSVGファイルを、Inkscapeで開いてレーザー加工用の編集をすると、なぜかレイヤーが存在しない状態になり、後でレーザー加工機の制御ソフトにエラーではじかれます。\\ Inkscapeに戻ってレイヤーを新規追加して、対象の図形をコピーして新しいレイヤーに貼り付け、元の図形を削除してもう一度編集をすることになります。\\ この辺の作業がわずらわしくて困っていましたが、Inkscapeの「ファイルを開く」から対象のSVGファイルを開くのではなく、Inkscapeの最初の画面上にエクスプローラ等からSVGファイルをドラッグして貼り付けると、既に貼り付け先にレイヤーが存在しているので、この問題が発生しないことに気づきました。\\ {{: | + | * Shaper Utilitiesで出力したSVGファイルを、Inkscapeで開いてレーザー加工用の編集をすると、なぜかレイヤーが存在しない状態になり、後でレーザー加工機の制御ソフトにエラーではじかれます。\\ Inkscapeに戻ってレイヤーを新規追加して、対象の図形をコピーして新しいレイヤーに貼り付け、元の図形を削除してもう一度編集をすることになります。\\ この辺の作業がわずらわしくて困っていましたが、Inkscapeの「ファイルを開く」から対象のSVGファイルを開くのではなく、Inkscapeの最初の画面上にエクスプローラ等からSVGファイルをドラッグして貼り付けると、既に貼り付け先にレイヤーが存在しているので、この問題が発生しないことに気づきました。\\ {{: |
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- | * 一部の寸法を変更したにもかかわらず、背面パーツ用の手持ちの透明アクリル板の長さが数mm足りません。もう寸法変更はしたくないのもあり、たまたまギリギリで収まる寸法の半透明アクリル板があったので、それを使うことにしました。2枚の背面パーツの片方は既に透明板で切断済でしたが、改めて半透明板でカットし直しました。\\ \\ {{: | + | * 一部の寸法を変更したにもかかわらず、背面パーツ用の手持ちの透明アクリル板の長さが数mm足りません。もう寸法変更はしたくないのもあり、たまたまギリギリで収まる寸法の半透明アクリル板があったので、それを使うことにしました。2枚の背面パーツの片方は既に透明板で切断済でしたが、改めて半透明板でカットし直しました。\\ \\ {{: |
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==== 組立 ==== | ==== 組立 ==== | ||
行 49: | 行 48: | ||
* 材料の寸法問題から背面を半透明のものに変えましたが、組み立ててみると良い感じです。透明で後ろの壁が見えていても仕方ないので、結果的にこちらの方で良かったです。 | * 材料の寸法問題から背面を半透明のものに変えましたが、組み立ててみると良い感じです。透明で後ろの壁が見えていても仕方ないので、結果的にこちらの方で良かったです。 | ||
- | * 幅440mm/ | + | * 幅440mm/ |
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行 56: | 行 55: | ||
==== コメント ==== | ==== コメント ==== | ||
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* レーザーカットによる切り代の影響を補正するオフセットを、今回はかける方向を間違えてしまいましたが、材料の変更で余った部品(背面パーツの片方)があったので、各部の寸法を測って確認してみました(W;横の長さ、V;縦の長さ、単位mm)。 | * レーザーカットによる切り代の影響を補正するオフセットを、今回はかける方向を間違えてしまいましたが、材料の変更で余った部品(背面パーツの片方)があったので、各部の寸法を測って確認してみました(W;横の長さ、V;縦の長さ、単位mm)。 |