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activities:products:replace_parts [2022/04/16 11:21]
Staff_Ujiie [経緯]
activities:products:replace_parts [2022/04/16 11:55] (現在)
Staff_Ujiie [ロールスクリーン破損部品のリプレース]
行 4: 行 4:
  
 {{:activities:products:p4103760_w600.jpg?direct&400|}} {{:activities:products:p4103760_w600.jpg?direct&400|}}
 +\\ 
 ===== 経緯 ===== ===== 経緯 =====
   * {{ :activities:products:p1103158r_w600.jpg?direct&200|こんなものです}}店舗室内の窓に付いているロールスクリーンは、この物件を借りたときから付いているもので、結構年数がいっていると思いますが、なにせ窓が多いので、新調せずにそのまま使っています。\\ 先日スクリーンを下げようと思って紐を引っ張ったら、紐が落ちてきました。ロールスクリーンの下の棒に紐を固定している樹脂部品が真っ二つに割れて外れていました。   * {{ :activities:products:p1103158r_w600.jpg?direct&200|こんなものです}}店舗室内の窓に付いているロールスクリーンは、この物件を借りたときから付いているもので、結構年数がいっていると思いますが、なにせ窓が多いので、新調せずにそのまま使っています。\\ 先日スクリーンを下げようと思って紐を引っ張ったら、紐が落ちてきました。ロールスクリーンの下の棒に紐を固定している樹脂部品が真っ二つに割れて外れていました。
行 18: 行 18:
  
 ===== 作成の方針 ===== ===== 作成の方針 =====
-  * オリジナルは裏側でバネ構造で固定する仕組みが付いていますが、ロールスクリーンの棒から外れなければよいので、バネ無しで横から入れるだけの単純な一体成形の構造にします。+  * {{ :activities:products:p1103159r_w600.jpg?direct&200|バネで固定する仕組み}}オリジナルは裏側でバネ構造で固定する仕組みが付いていますが、ロールスクリーンの棒から外れなければよいので、バネ無しで横から入れるだけの単純な一体成形の構造にします。
  
   * 使用する樹脂材料はPLAだと直射日光であまり持たないと思いますので、丈夫で見た目もオリジナルに似た透明のPETGを使うことにします。   * 使用する樹脂材料はPLAだと直射日光であまり持たないと思いますので、丈夫で見た目もオリジナルに似た透明のPETGを使うことにします。
行 26: 行 26:
   * 長期間ロールスクリーンのパイプから外れることなく、引っ張り紐をきちんと固定し続けるように、丈夫さ優先で一体成形にします。横から見たときには馬蹄形になります。   * 長期間ロールスクリーンのパイプから外れることなく、引っ張り紐をきちんと固定し続けるように、丈夫さ優先で一体成形にします。横から見たときには馬蹄形になります。
  
-  * 最初にロールスクリーン側の取り付け場所の形と寸法をきちんと調べます。\\ 布が巻かれた状態のアルミパイプの外寸を測って、そこに無理なく横から差し込めるくらいの内径に調節します。\\ 実はパイプの断面が円ではなく、楕円形のような形だったので、できるだけ似せてスケッチ図面を引きます(Fusion360)。+  * {{ :activities:products:p1103161r_w600.jpg?direct&200|パイプの断面}}最初にロールスクリーン側の取り付け場所の形と寸法をきちんと調べます。\\ 布が巻かれた状態のアルミパイプの外寸を測って、そこに無理なく横から差し込めるくらいの内径に調節します。\\ 実はパイプの断面が円ではなく、たまご形のような形だったので、できるだけ似せてスケッチ図面を引きます(Fusion360)。
  
   * 部品の厚みは、薄すぎてたわんで外れてしまわないようにある程度以上は必要です。薄い所で2.5mmぐらい取りました。引っ張ったときに力のかかる上側をより厚くしています。   * 部品の厚みは、薄すぎてたわんで外れてしまわないようにある程度以上は必要です。薄い所で2.5mmぐらい取りました。引っ張ったときに力のかかる上側をより厚くしています。
行 34: 行 34:
   * 横幅や正面から見た形はオリジナル部品の形に似せて丸みを持たせます。   * 横幅や正面から見た形はオリジナル部品の形に似せて丸みを持たせます。
  
-  * 設計は横断面・正面・底面の3方向からスケッチを作成します。\\ 寸法が一番大事な横断面のスケッチから押出しで立体化し、正面スケッチで丸みのある外形を切り出して、底面スケッチで紐通しの穴を開けました。全体にフィレットで切り口を丸めて仕上げです。 +  * 設計は横断面・正面・底面の3方向からスケッチを作成します。\\ 寸法が一番大事な横断面のスケッチから押出しで立体化し、正面スケッチで丸みのある外形を切り出して、底面スケッチで紐通しの穴を開けました。全体にフィレットで切り口を丸めて仕上げです。\\ {{:activities:products:sc2022-04-09_17.04.34r_w000.png?direct&200|横断面スケッチ}} {{:activities:products:sc2022-04-09_17.02.02r_w600.png?direct&200|正面}} {{:activities:products:sc2022-04-09_17.02.33r_w600.png?direct&200|底面}}
- +
-  * 横断面スケッチは、最初にロールスクリーンの部品の輪郭を円とフィット点スプラインで作り、その輪郭線を基準にオフセット線を引いて部品の輪郭を作っていきます。目安とする基準線を何本も引いて、それを参考に部品の輪郭線をスプライン曲線で作っていきます。+
  
 +  * 横断面のスケッチは、最初にロールスクリーンのパイプの輪郭を円とフィット点スプラインで作り、その輪郭線を基準にオフセット線を引いて部品の輪郭を作っていきます。目安とする基準線を何本も引いて、それを参考に部品の輪郭線をスプライン曲線で作っていきます。
 +{{:activities:products:sc2022-04-09_16.58.13r_w600.png?direct&200|上を厚めに}} {{:activities:products:sc2022-04-09_16.58.54r_w600.png?direct&200|下はオリジナルとはちょっと違います}}
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 ===== プリント ===== ===== プリント =====
-<スライス>+**<スライス>** 
 +{{:activities:products:sc2022-04-10_09.46.26r_w600.png?direct&200|縦に配置}} {{:activities:products:sc2022-04-10_10.04.24r_w600.png?direct&200|サポートは少なくてすみます}} {{:activities:products:sc2022-04-10_10.05.17r_w600.png?direct&200|断面のアップ}}
   * できるだけ強度を上げたいので、プリントの向きをパイプが縦になるように配置します。こうすると1本のフィラメントが途切れずにパイプをくるむ形で積層されるので、破損した部品のように縦に割れてしまう事態は起きにくくなると思います。   * できるだけ強度を上げたいので、プリントの向きをパイプが縦になるように配置します。こうすると1本のフィラメントが途切れずにパイプをくるむ形で積層されるので、破損した部品のように縦に割れてしまう事態は起きにくくなると思います。
  
行 48: 行 49:
   * 縦にプリントするのでサポートを付けることは必要です。とはいえ、この位置だとサポート除去跡は目立たないと思います。   * 縦にプリントするのでサポートを付けることは必要です。とはいえ、この位置だとサポート除去跡は目立たないと思います。
  
-<プリント結果>+**<プリント結果>** 
 +{{:activities:products:p4103753r_w600.jpg?direct&200|糸が目立ちます}} {{:activities:products:p4103754r_w600.jpg?direct&200|一見悲惨にも見えますが}}\\ {{:activities:products:p4103755r_w600.jpg?direct&200|糸を取るときれいです}} {{:activities:products:p4103757r_w600.jpg?direct&200|紐通しの穴は手を加えます}} {{:activities:products:p4103756r_w600.jpg?direct&200|下側}}
   * 部品の内側に糸引きが多数発生していました。PETGの場合、糸は簡単にパラパラと取れてくるのでたくさんあってもあまり心配は要りません。取り残しがないように注意しながら全体にスクレーパーの刃を当てて取っておきます。   * 部品の内側に糸引きが多数発生していました。PETGの場合、糸は簡単にパラパラと取れてくるのでたくさんあってもあまり心配は要りません。取り残しがないように注意しながら全体にスクレーパーの刃を当てて取っておきます。
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-  * 紐を通す穴は、横向きに成形されたため断面がきれいに円になっているか自信がないので、同じ直径のドリルの刃を通してきれいに仕上げておきます。 
  
   * 所々に茶色い塊が見られます。これは、プリントノズルの外側に付着した材料(PETG)が長時間熱せられて焦げたものが、プリント中にはがれて付いたものだと思われます。\\ 1箇所だけ、プリント内部に入り込んだ箇所がありました。目立たないように表面を削っておきます。   * 所々に茶色い塊が見られます。これは、プリントノズルの外側に付着した材料(PETG)が長時間熱せられて焦げたものが、プリント中にはがれて付いたものだと思われます。\\ 1箇所だけ、プリント内部に入り込んだ箇所がありました。目立たないように表面を削っておきます。
行 57: 行 57:
   * 部品の外側の面は滑らかに光沢のある半透明に仕上がっています。   * 部品の外側の面は滑らかに光沢のある半透明に仕上がっています。
  
 +  * 紐を通す穴は、横向きに成形されたため断面がきれいに円になっているか自信がないので、同じ直径のドリルの刃を通して仕上げておきます。
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行 66: 行 67:
   * スクリーンを上げ下げしてみましたが機能的にも問題なさそうです。見た目も言われなければ気が付かないぐらいに違和感なくおさまっています。   * スクリーンを上げ下げしてみましたが機能的にも問題なさそうです。見た目も言われなければ気が付かないぐらいに違和感なくおさまっています。
  
 +{{:activities:products:p4103758_w600.jpg?direct&200|先に紐を通します}} {{:activities:products:p4103762_w600.jpg?direct&200|遠目には隣の窓と同じに見えます}}
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activities/products/replace_parts.1650075692.txt.gz · 最終更新: 2022/04/16 11:21 by Staff_Ujiie